ヤングケアラー支援 家事・子育ての新制度整備へ
病気や障害のある家族の介護や世話をする子供「ヤングケアラー」をめぐり、厚生労働省と文部科学省は17日、幼いきょうだいをケアする子供のいる家庭に対し、家事や子育てを支援する新たな制度を整備する方針を固めた。自治体と支援団体が連携したオンラインによる相談体制を支援するほか、当事者の早期発見につなげるため、自治体による実態調査も促す。
両省のプロジェクトチーム(PT)が同日、支援策を報告書に取りまとめた。政府が夏に策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」への反映を目指す。
中高生を対象にした両省の実態調査では、両親だけでなく、幼いきょうだいの世話で、食事や掃除、洗濯などの家事に追われる当事者が多いことが発覚。両省は、既に実施している保育サービスに加え、新たに家事や子育てを支援する体制の整備も必要と判断した。ひとり親家庭への生活支援の推進も検討する。
必要な支援につなげるため、相談窓口を明確にする必要性を指摘。元当事者らによる相談事業への支援を進め、子供たちがアクセスしやすい会員制交流サイト(SNS)の活用なども求めた。
都道府県や政令市には、潜在化しやすいヤングケアラーの詳しい実態調査を促す。自治体の教育・福祉・介護担当者らが合同で研修を実施することを求めており、多機関が連携できるよう支援マニュアルを作成する。認知度向上のため、来年度から3年間で中高生の認知度5割を目指す。
ヤングケアラー
「YOUNG(若い)」と「CARER(世話する人)」を組み合わせ、英国で生まれた言葉とされる。日本ケアラー連盟などによると、大人が担うような家事や病気や障害がある家族の介護を日常的に行っている18歳未満の子供を指す。自由な時間が取れず、学業や進路に影響を及ぼすだけでなく、健全な発育や人間関係の構築を阻むとされている。