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【Dr.國井のSDG考~置き去りにしない社会を目指して(7)】(中)ゲスト・児玉治美さん 優先される「ジェンダーと気候変動」対策

援助した治療薬がきちんと処方されているかチェックするグローバルファンドの國井修さん=2015年、ケニア
援助した治療薬がきちんと処方されているかチェックするグローバルファンドの國井修さん=2015年、ケニア
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 児玉 私たちは支援の総額の10%以上を使って、途上国の公共部門管理や行政改革などの制度づくりも支援しています。ADBのプロジェクトの中できちんとお金が使われていることを担保するのはもちろん、国全体の税制の改正や、税務行政の強化、インフラや行政サービスの効率的な運営も支援しているんです。

 國井 多くの低中所得国で、国家予算の中で保健医療が占める割合がすごく少ないんですよ。本来は国家予算の15%、せめて10%くらい、公的医療機関の整備、医療人材の育成、医薬品、そして国民の自己負担が少なくなるような保険制度などに使ってほしいんですが…。

 児玉 どこの国でも、保健省はあまり力がないので、予算がつきにくいんですよね。ADBは昨年9月の総会で、アジア・太平洋から40以上の財務大臣と保健大臣・副大臣が一堂に会するイベントをやりました。国の予算をつかさどる財務大臣と保健大臣が一緒になって、どうやって保健医療に予算をつけるかの議論を深めるためです。

 國井 中所得国では特に貧富の差が激しくなっていて、医療施設はあっても医療費が高くて、貧困層がお金を払えない。病気になるとさらに貧しくなる。それでいて低所得国から中所得国になると国際援助が減ってくる。アジアには中所得国が多く、その辺が問題ですよね。GFでも、中所得国が自立して、われわれの援助から卒業するにどうすればよいか、サステイナビリティ・プラニング(自立への計画づくり)の策定とその実行に協力しています。

 児玉 確かにアジアには中所得国が圧倒的に多く、貧富の差も多くの国で広がっています。1日3.2ドル以下で暮らしている貧しい人の数も10億人近くで非常に多い。世界の貧困層の半分以上がアジアに住んでいるんです。アジアが豊かになっているというイメージは一面的だと思います。税収についても、GDP比で15%くらいを確保しないと持続可能な発展のための資金が捻出できないとされていますが、アジアの国の多くは達していません。ADBは最近、域内の国々の国内資金動員を進めるために、租税政策や税務行政に関する知識の共有を目的とする地域ハブを立ち上げました。

 國井 次に、気候変動の話を教えてください。地球温暖化によって、蚊の生息域が広がってマラリアなどの蚊が媒介する感染症が増えたり、自然災害が頻発したりして被害も増えています。日本でも台風や異常気象が頻繁に起きていますね。こうした気候変動の問題に対して、ADBが行っていることはありますか?

 児玉 ADBが掲げている7つの優先課題の中で、戦略レベルで数値目標を掲げているものが2つだけあります。それは、ジェンダーと気候変動です。2030年までに、ADBのすべての案件の75%以上にジェンダー平等の推進と気候変動・防災対策を盛り込むという野心的な目標を立てているんです。ADBが承認するプロジェクト文書には、それぞれの案件が気候変動とジェンダーのどこに貢献するかが書いてあります。プロジェクトの結果についてもちゃんと評価して、報告書として公開しています。気候変動対策の中には、温室効果ガスを削減するために太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを推進したり、災害に強いインフラを作ることなど、さまざまな活動が含まれています。=(下)に続く

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