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【美村里江のミゴコロ】時代劇用の筋肉

 今回も時代劇全般のお話。私の初時代劇は、ちょうど10年前のNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」で、細川たま、後のガラシャを演じた。ずっと「水戸黄門」「大岡越前」「必殺仕事人」など楽しく視聴して時代劇に憧れていた上に、大河である。大喜びで準備した。

 大河の出演が若手にとって大変ありがたいのは、何より事前稽古を受けられること。本人の希望や他の仕事の状況で頻度は変わるが、所作指導の名目で日舞を習いに行けるのだ。私は他の撮影の合間を縫って、週2回行くようにした。

 とはいえ、何も知らないので、まず稽古用の浴衣を1人で着るところからスタート。初夏の汗ばむ陽気の中、もたもたと準備し、30分もかかっていた。それが慣れると5分で着られるのだから、手習いは大事だ。

 通常のお弟子さんたちの間にわれわれ役者も入れていただくので、前後にすれ違うことも多かったが、すてきな方ばかりだった。

 なんてことのない紺地に白抜きの朝顔の浴衣、深紅の麻の帯、お化粧は口元に紅が一閃(いっせん)のみ。30代と思われるこの方の所作が特に美しく、私は生まれて初めて人に向かい「美しいですね」と嘆息してしまった。少し恥ずかしそうに「ありがとう存じます」と会釈される姿も美麗…。

 こんなふうになりたい! と強烈な憧れを抱きつつ、もう一方で私は「時代劇用の筋肉が要るな…」という点も強く思っていた。

 稽古の初日、私の前ももは燃えたのだ。

 日舞は腰を落とすので、不慣れな私は前ももばかりを使ってしまい、そこだけがひどい筋肉痛になった(本来は足の指からふくらはぎ、裏ももなど満遍なく使う)。載せた氷嚢(ひょうのう)もみるみるぬるくなり、翌日何をするにも激痛というありさまだった。

 以来、若い役者さんから「時代劇は初めてなんですけど、何かアドバイスはありますか」と聞かれたら、「ぜひ日舞の稽古と筋トレを」と答えている。日本人古来の精神性や細かな所作は各お師匠さまにお教えいただくとして、筋肉の支えがないと美しい動きにならないのだ。テーブル生活の延長の筋肉では、高貴な役のゆったり感も台無しになってしまう。

 ということで、私は今も時代劇参加前は和室で頭に本を3冊ほど載せ、立ったり座ったりの地味な筋トレを繰り返している。

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