PR

ライフ ライフ

【正論6月号】政界なんだかなあ 日の目見なかったウイグル問題 産経新聞論説委員・政治部編集委員 阿比留瑠比

日本ウイグル議連の総会で発言する古屋圭司会長。後方は日本ウイグル協会のメンバーら=令和2年11月18日、国会内(春名中撮影)
日本ウイグル議連の総会で発言する古屋圭司会長。後方は日本ウイグル協会のメンバーら=令和2年11月18日、国会内(春名中撮影)

 ※この記事は、月刊「正論6月号」から転載しました。ご購入はこちらをクリック

 正しいと思われること、まさに正論を訴えようとしても、時宜を得なければ伝わらないことはよくある。重要な問題でも深刻な事態でも、世間が注目するようにならないとマスコミは取り上げないか小さな扱いしかしないし、仮にマスコミが大きく報じても読者に見逃されることもある。

 最近でこそ、香港の民主勢力弾圧をきっかけに中国の人権問題が注目されるようになり、産経新聞も連日、「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と指摘される少数民族弾圧報道に紙面を割いている。

 また、国会でもようやく超党派の「人権外交を超党派で考える議員連盟」、「日本ウイグル国会議員連盟」、野党系の「『人権外交』を推進する議員連盟」、自民党有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」…などの議連が活動を活発化させ、また結成されるなど動きが出てきた。

 やっと、ウイグルなどにも日本が関心を持つようになったことは歓迎したいし、隔世の感もある。ただ、言うまでもなく中国の少数民族弾圧は今に始まったことではなくずっとそこにあり、当事者たちが命がけでその惨状を訴え続けてきた悲劇であることも忘れてはなるまい。

 北朝鮮による日本人拉致事件もそうだった。被害者家族や拉致被害者を救う会などがいかに声を上げても、マスコミも政治も一部の例外を除き長年、冷たかった。同胞を襲った拉致事件の報道に先鞭をつけたはずの産経新聞ですら、一時期は拉致事件関連の報道は少なく小さかった。

 筆者も平成十四年の小泉純一郎首相による初の北朝鮮訪問前に、こんな体験をした。拉致議連の新会長に石破茂元農水相が就くという情報を得て、独自ダネとして出稿しようとしたら、当時のデスクに「要らない」と紙面掲載を断られたのだった。

 マスコミも政治も日々の雑事を追いかけることにかまけ、大切なこと、事の軽重と優先順位を見失いがちである。そしてその結果、国民も遠い世界の他人事として済ませてしまう。日常生活を送るのに精一杯で、面倒なことには関わり合いたくも知りたくもないという心理も働く。

 だが、その繰り返しでいいはずがない。その反省と自戒を込めて、産経新聞に載らなかった過去のインタビューを紹介したい。

■十三年前のウイグルの惨状

 平成二十年六月、日本ウイグル協会の初代会長に就任する五日前の在日ウイグル人、イリハム・マハムティ氏(当時三十八歳、現名誉会長)に次の話を聴いたものの、紙面には採用されなかった。イリハム氏は、「ウイグルの現状を日本のみなさん、社会に伝えたい」と語っていた。

 --ウイグルの問題は、日本ではまだそれほど知られていない。新疆ウイグル自治区の現状は。

 「ウイグルが、チベットのような大きな問題になるのには時間がかかるだろう。チベットには、ダライ・ラマ法王がいるため、中国はわれわれウイグルに対するようなひどいことをまだやっていない。

 ウイグルでは、十九歳から二十五歳の未婚の女性が強制的に自治区の外に連れていかれている。表向きは『仕事をさせる』と親切な口ぶりで言っているが、実は政策的に(漢族との)同化を始めているのではないかと考えている。二〇〇六年から一一年までの五年間に、毎年八万人、計四十万人の女性たちを連れていくという計画だ。女性は、最初は山東省とか浙江省に連れていき、だんだんと各地に連れ出すことになっている。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ