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産経児童出版文化賞を発表 大賞、八尾慶次氏のインタビューと受賞作紹介 

2021版・産経児童出版文化賞ロゴマーク
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 第68回産経児童出版文化賞が決まりました。昨年1年間に刊行された児童向けの新刊書を対象に審査を重ねた結果、次の8点を大賞、JR賞、美術賞、産経新聞社賞、フジテレビ賞、ニッポン放送賞、翻訳作品賞に選びました。

 ■大賞「やとのいえ」 八尾慶次 作 偕成社

 ■JR賞「プラスチックモンスターをやっつけよう!」 高田秀重 監修 クリハラタカシ 絵 クレヨンハウス

 ■美術賞「つかまえた」 田島征三 作 偕成社

 ■産経新聞社賞「バウムクーヘンとヒロシマ」 巣山ひろみ 著 銀杏早苗 絵 くもん出版

 ■フジテレビ賞「サンドイッチクラブ」 長江優子 作 岩波書店

 ■ニッポン放送賞「うしとざん」 高畠那生 作 小学館

 ■翻訳作品賞「ウサギとぼくのこまった毎日」 ジュディス・カー 作・絵 こだまともこ 訳 徳間書店

       「ありがとう、アーモ!」 オーゲ・モーラ 文・絵 三原泉 訳 鈴木出版

 主催 産経新聞社

 後援 フジテレビジョン、ニッポン放送

 協賛 JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本

    JR四国、JR九州、JR貨物

産経児童出版文化賞 各賞の受賞作品を紹介

 第68回産経児童出版文化賞(産経新聞社主催、フジテレビジョン、ニッポン放送後援、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物協賛)が決定しました。4214点の中から大賞に選ばれた『やとのいえ』(偕成社)の著者、八尾慶次さんへのインタビューと、各賞の受賞作品を紹介します。

≪大賞≫『やとのいえ』八尾慶次著 一軒家の150年 詳細に描く

偕成社・1980円
偕成社・1980円
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 「まだ受賞の実感がありません。よりよい絵本を目指し、編集者さんと2人でやってきただけなので…。本当にうれしい」

 絵本の単行本は今作が初めて。デビュー作での受賞となった。東京西郊の丘陵地に建つ一軒家に視点を置き、のどかな谷あいの農村が巨大ニュータウンに一変するまでを、15枚の見開き絵で描く。制作期間は、実に6年間に及んだ。

 「描くのは楽しかった。苦しさといえば、監修者に集めていただいた膨大な資料を、全部盛り込めなかった点でしょうか」

八尾慶次さん
八尾慶次さん
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 農作業をはじめ、冠婚葬祭などの習俗や高度成長期の工事現場まで、すべて資料に基づき正確を期した。大正時代の多摩地域の農作業で使われていたわらじが、かかと部分のない通常の半分サイズのものだったり、造成工事で使われる大型トラックの燃料タンクのキャップに軍手がかぶせられていたりと、その描写は微に入り細をうがつ。

 受賞作の「主人公」といえるのが、農家の庭に約150年間じっとたたずむユーモラスな十六羅漢像。実は絵本作家になったのも、羅漢さんがきっかけだった。15年ほど前、京都・愛宕(おたぎ)念仏寺にある千二百羅漢像の素朴さに心奪われたのを機に石仏を描き始め、その絵がボローニャ国際絵本原画展で入選。石仏の魅力について、「つくられた当初はきれいでも、やがて雨風に削られ、最後は砂になって消える。姿そのもので諸行無常を示している」と語る。われわれがいま目にする町も、いずれ失われた過去の風景になる。時の流れという形のないものを、見事に描き出した。(磨井慎吾)

【プロフィル】八尾慶次

 やつお・けいじ 昭和48年、相模原市生まれ。宝塚造形芸術大卒業。会社員を経て絵本作家に。平成25年に「羅漢さん」でボローニャ国際絵本原画展に入選。月刊絵本に「ばけものがおどるてら」「おはぎをつくるおばけ」など。

【講評】

 多摩丘陵の谷戸(やと)に建てられた一軒のかやぶき屋根の農家と、その周辺の環境の変化を見つめた絵本。1868年から約150年間の変遷を、ていねいな絵とわかりやすい文章で表現している。最初は、この農家の周辺は雑木林や畑や田んぼで、人々は農業や炭焼き、養蚕やカゴ作りなどをして暮らしている。子どもたちは空き地や川で遊び、家畜ばかりでなく野生の生き物とも触れあっている。ところが、1970年代に入ると開発の波が押し寄せ、あっという間に森林が伐採され、舗装道路や団地や分譲住宅ができ、鉄道やモノレールが通る。やがて古くなったこの農家も壊されて、瓦屋根の住宅に建て替えられる。

 環境の変化の歴史と同時に、季節ごとの農作業、婚礼や葬儀、お祭りなども描かれ、その時々の人々の暮らしぶりもわかる。変化していくものとは対照的に、この家の庭の隅にはずっと変わらず石造りの十六羅漢さんが置かれているのもおもしろい。

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