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【コロナ直言】(4)ワクチン開発 国が支援を 岡田賢司氏

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 《日本での新型コロナウイルスのワクチン接種は2月17日に始まった。少なくとも1回目を接種した人が全人口に占める割合(接種率)は、4月末で約2%と先進国で最低水準だ》

 接種遅れの主な要因は、ワクチン確保の出遅れと欧州の輸出規制による供給制約にある。5月以降は供給が増えると期待されるが、海外製ワクチン確保と国産ワクチンの開発支援など体制の見直しは急務だ。

 海外の先進国は日本と異なり、ワクチンを「国家防衛の道具」と捉えてきた。特に他国との交流が活発な欧米諸国は、自国への未知のウイルス流入に対する危機感が強い。このウイルスが中国で確認された直後から、国内外のメーカーとワクチンの開発段階から交渉を始めたとみられる。

 これに対し、日本では重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)や中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の症例が確認されなかった。それゆえ今回も「対岸の火事」との意識がどこかにあったのではないか。

 ワクチン獲得競争で問われたのは、外交力や感染症対応の経験だった。日本は米ファイザーと基本合意したものの、供給契約できたのは今年1月。ワクチンは開発段階では、有効性や安全性など海のものとも山のものとも分からない。しかし、承認が見込めるまで契約を固めなかったことで、他国の後塵(こうじん)を拝することになったのではないか。

《菅義偉首相は1月、河野太郎氏をワクチン担当相に任命し、確保と接種を一元的に進めている》

 厚生労働省の中だけでやっていたワクチン行政を、ようやく国を挙げて議論できる状況になった。一方、国産ワクチンの実用化が遅れている背景には、国が国内メーカーを育成してこなかったことがある。開発支援や承認に至らなかった場合の補償なども含め、メーカーを後押ししなければならない。

 今後、どれだけの国民が接種されるかが焦点になる。一般的に、ワクチンで集団免疫を獲得するには6~7割の人の接種が必要とされる。接種で先行する英国やイスラエルでは5~6割が少なくとも1回接種し、感染者がかなり減ってきている。日本でも国民の半数程度が接種しなければ収束は見えないだろう。

 今は重症化しやすい高齢者の接種を完了させることが最優先課題だ。接種の判断材料となる有効性や副反応など、迅速かつ正確な情報開示が求められる。

 日本人はゼロリスクを求める傾向が強いが、副反応はどのワクチンにもある。有効性と安全性、感染時のリスクの3つを考慮し、一人一人が判断してほしい。(聞き手 石川有紀)

おかだ・けんじ 福岡看護大教授。鹿児島大医学部卒。九州大大学院医学研究科修了(細菌学)。国立療養所南福岡病院(現国立病院機構福岡病院)統括診療部長、福岡歯科大教授などを経て、平成29年4月から現職。日本ワクチン学会理事長も務める。

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