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【コロナ直言】(3)民間病院活用へ法改正急げ 米村滋人氏

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 これまで、時間があったにもかかわらず「感染者の減少」ばかりに注力して、医療体制の整備がおろそかにされてきた。国や行政が主導すれば、実は医療体制はいくらでも変えられる。

 《日本の医療機関の約8割を占めるのが民間病院。厚生労働省によると、公立・公的病院の7~8割が新型コロナウイルス患者を受け入れ可能としたのに対し、民間病院では3割に満たない。これが病床逼迫(ひっぱく)の原因との指摘もある》

 小さな民間病院は適切な設備を持っておらずコロナ患者を受け入れられないといわれている。しかし、どれくらいの病院が受け入れられないのか実態は不明だ。民間病院でも一般患者とコロナ患者を分ける「ゾーニング」などの設備にかかる費用を国などが負担すれば、軽症患者を受け入れられる病院はかなり多いはずだ。

 これまで行政は民間病院に対し指示をすべきではないという発想だった。病院の内情も把握していない。病院間の入院患者らを調整するノウハウもない。ゆえに、民間病院で患者を受け入れるよう監督権限を行使しようとしてもできないのだ。

 東大大学院の米村滋人教授
 東大大学院の米村滋人教授
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 2月施行の改正感染症法では、自治体が病院に対して病床を増やすよう勧告できるようになった。しかし実際は、医療機関に受け入れを「お願い」しているにすぎず、断られることもある。強い命令を出すことでしか、病床を増やせる見込みはない。新型コロナ特別措置法を改正し、強い指示ができる仕組みを検討すべきだ。

 一方で、マンパワーの問題もある。現在、国や他の自治体から看護師らを派遣する仕組みはあるが、場当たり的である。安定した医療体制を築くためには、看護師らの確保は都道府県内で完結させる必要があるだろう。一般的に夏にかけて病気にかかる人が減って病院は患者数が減るためスタッフが過剰になると予想される。この際、コロナ患者を診ていない病院からスタッフの派遣を行うのも効果的だ。

 保健所が個々の医療機関で協力できそうなことを提案し、人員の補完や病床を確保したケースも出ている。だが、このやり方ではマンパワーと時間がかかりすぎる。国が号令をかけ、医療機関や自治体に指示を出したり、医療機関同士の任意の連携を促進したりする仕組みが必要だ。

 日本は良くも悪くも、個人の自由や自主的な判断の尊重を重視してきた。これが、国家的危機では悪く作用している。今こそ危機感を強く持つべきだ。(聞き手 石橋明日佳)

よねむら・しげと 東京大大学院法学政治学研究科教授。東大医学部在学中に司法試験に合格。東北大大学院法学研究科准教授を経て、平成29年から現職。法学の教育・研究を行う傍ら、東京都健康長寿医療センターに循環器内科医としても勤務。専門は民法、医事法。

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