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【ビブリオエッセー月間賞】3月は『JR上野駅公園口』 大阪府羽曳野市の西村真千子さん(57)

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 本にまつわるエッセーを募集し、夕刊1面とWEBサイト「産経ニュース」などで掲載している「ビブリオエッセー」。皆さんのとっておきの一冊について、思い出などとともにつづっていただき、本の魅力や読書の喜びをお伝えしています。3月の月間賞は、大阪府羽曳野市の西村真千子さん(57)の『JR上野駅公園口』に決まりました。プロの書店員と書評家による選考会の様子をご紹介します。今回は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインで開催しました。

■「時空間を自由に行き来させてくれる」(福嶋さん)、「文章のパワーに軍配」(江南さん)

 --東日本大震災から10年を迎えた3月は、震災にかかわるエッセーがいくつかありました。まずは全体の印象からお願いします

 福嶋 ぼくたちはこれまで、本と読書体験の何を書くかに注目してきましたが、今回はあえて書かれなかったことが想像力を喚起する、そんなエッセーが気になりました。

 江南 私はノンフィクションとフィクション、人はどちらに共感して自分ごとと思うのだろうかということを考えました。直接性と間接性の違いがあり、事実と虚構とも思われがちですが、実は「書かれている」点ではどれも現実なんですね。フィクションに変換した方が伝わる場合もある。それぞれの利点を受け止めて人は本を読むのだなあと、全体を通して感じました。

 --個別にはどうですか

 福嶋 年配の方のエッセーには、長い時の流れを感じさせ、それが効果を生んでいるものがある。『新々英文解釈研究』がその好例で、筆者の物語としてもすてきだなと思いました。

 江南 書評部分よりも自分史を読ませるタイプのエッセーで、ビブリオエッセーらしいたたずまいですね。手だれの印象でした。私がまず選んだのは『ふたりの老女』です。この書き手は、小説を読んだときに、自分に「橋」がかかったと感じたのでは。小説舞台はアラスカという遠い地ですが、阪神大震災でつらい思いをした自分とつながり、腑に落ちた。そんな読書体験の流れがうまく収まっています。

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