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【話の肖像画】歌舞伎俳優・中村獅童(48)(18)オフシアターの生々しさ

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オフシアター歌舞伎のポスターに使われた写真(c)松竹
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 《令和元年5月、東京・天王洲の倉庫と歌舞伎町のライブハウスで「オフシアター歌舞伎」を開催。近松門左衛門(ちかまつ・もんざえもん)作「女殺(おんなごろし)油地獄(あぶらのじごく)」を上演し、放蕩(ほうとう)息子の河内屋与兵衛(かわちや・よへえ)を演じた》

 20代のころニューヨークに行ったときに、オフ・ブロードウェーをはじめ、倉庫での上演などさまざまなスタイルの演劇があることを知って、これまで歌舞伎を上演したことがないような空間でやってみたかったんです。それから、さまざまな国籍や世代の人たちが集まり、人間の欲が渦巻いているような新宿・歌舞伎町でダークな歌舞伎をやるのも面白いのではないかと思いました。長年温めてきた構想が形となり、すごくうれしかったです。

 平成18年、三越劇場で与兵衛を初役で演じたときに、「いつかまた違った形でこの演目をやりたい」と感じたんです。「女殺油地獄」は300年ほど前に実際にあった殺人事件を題材にしています。借金まみれになり、親に暴力を振るった揚げ句、勘当されたドラ息子が親切な油店の女房、お吉(きち)を殺して金を奪うという話ですが、現代に通じる少年犯罪の話なんですよ。

 歌舞伎って、江戸時代は大名たちに愛された格式ある能とは違い、大衆のもので今風にいうと“ストリート”なんですよ。より“ストリート”に近いアンダーグラウンドな場所で演じると、歌舞伎をもっとリアルに表現できるのではないかという思いもありました。

 《「豊嶋屋(てしまや)油店の場」では借金を断られた与兵衛が持っていた脇差しでお吉を襲い、2人がもみ合ううちに倒れた油桶(あぶらおけ)からこぼれた油に足を滑らせながらの殺人のシーンは文字通り地獄絵図で、この演目最大のクライマックス。歌舞伎の舞台では「ふのり」(ぬめりのある海藻)で油を表現するが、オフシアター歌舞伎では身体の動きだけで油を表現した》

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