【Q&A】「動向次第で3度目宣言必要」日本感染症学会理事長・舘田一博氏
政府の分科会メンバーで、日本感染症学会の舘田(たてだ)一博理事長に緊急事態宣言の効果と課題を聞いた。
--昨年4月の緊急事態宣言をどう評価するか
「海外ではオーバーシュート(爆発的な患者急増)で医療崩壊を起こす国が出て、感染が広がる国内でも危機感が高まっていた。もっと早めに出すべきだったという声もあったが、みんなが手探りの中で、何とか乗り切れないかと知恵を出し合った結果だと思う」
--接触8割減を目指し、学校の一斉休校など外出自粛を徹底した
「初めての経験だから強めに、広めにやらざるを得なかったが、強力な対策を講じたことで、東京で1日の感染者が1桁になるほどの抑制につながった。一斉休校は『やり過ぎ』との批判も出たが、子供が重症化しにくいというのは後で分かったことだ」
--宣言の解除後、1カ月ほどで第2波が始まった
「解除時点で、東京・歌舞伎町の接待を伴う飲食店などではすでに感染の『火種』がくすぶり始めていた。第2波は宣言を出さずに済んだが、感染者数を下げ切ることができず、年末年始の大きな山へとつながった。結果的に感染対策への意識に緩みを生んでしまったかもしれない」
--2度目の宣言発令も後手に回ったと指摘された
「感染者が再び増え、第3波の兆候がみられたとき『このまま乗り切れるのではないか』との期待感が判断を遅らせたことは否めない」