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【正論5月号】菅(かん)元首相を美化 お先棒担いだ朝日 産経新聞政治部編集委員兼論説委員 阿比留瑠比

東京電力福島第一原子力発電所1号機(右)=福島県大熊町(本社ヘリから、川口良介撮影)
東京電力福島第一原子力発電所1号機(右)=福島県大熊町(本社ヘリから、川口良介撮影)

 ※この記事は、月刊「正論5月号」から転載しました。ご購入はこちらをクリック

 二〇一一年の東日本大震災発生とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故から、もう十年がたった。三月十一日の前後にはテレビや新聞は特集を組

み、今も残る被災地・被災者の傷跡を追いかけ、また事故当時の関係者の証言を改めて紹介していた。

 私事で恐縮だが、筆者は東北には深い思い入れがある。妻は津波で多数の犠牲者を出した福島県いわき市の出身であり、今も老いた義父母や義兄がそこに暮らす。震災発生から一カ月余が過ぎた頃、かつて家族らと遊んだ沿岸部を訪れ、変り果てた姿に呆然とした。 港に大きな船が沈没しており、田畑にはひっくり返った車が転がっている。海辺の集落は建物がほとんど流され、海の家は壁面だけが残っていた。決して忘れることのできない光景である。

 初任地は宮城県であり、かつて取材その他で飛び回った場所が津波に呑み込まれるテレビ映像を見たときには衝撃を受けた。津波に流されるたくさんの車の一台が、自分のものだったとしても不思議はないのだと感じた。

 あの巨大地震と原発事故が、多くの人の人生を左右し、変えていくのをこの十年間見てきた。自然の前に、人間の営為などあまりにちっぽけであるという当たり前の事実に、否が応でも向き合わざるを得なかった。

 十年を機に、そんなことを振り返っていた折に、正論編集部から注文を受けた。朝日新聞が当時長期連載し、二〇一二年度新聞協会賞を受賞した「プロメテウスの罠」をめぐって何か書けと-。

 当時、筆者は首相官邸キャップとして菅直人内閣の震災対応を取材しており、当然、この連載にもある程度目を通していた。そして時に、「何だこれは」と叫びたいような違和感を覚えていた。そこでこの連載と、関連するあれこれについて記したい。

作為的で不自然な連載

 まず第一に、菅氏を美化、または正当化しすぎている。危機対応に当たったリーダーがどんな状態にあるかは重要だろう。どんな人がリーダーにふさわしいか、どんな人物を選ぶととんでもない目に遭うかの貴重な教訓になるからである。それには、マスコミが実像を正しく伝えることが大事なことは言うまでもない。

 では、「罠」はどうだったか。例えば震災発生三日後の菅氏の様子はあっさりこう描かれている。

 《菅の口調は落ち着いていた》(二〇一二年一月四日付)

 一読、そんな訳はないだろうと突っ込みを入れたくなったのを記憶している。二十代の頃から「イラ菅」と呼ばれた菅氏が震災発生後、周囲に怒鳴り散らしていたことは周知の事実であり、証言に事欠かない。菅氏に何を報告してもとにかく当たり散らされていた秘書官らが、互いにこんな不謹慎なジョークを飛ばしていたと当の秘書官からも聞いたことがある。

 「怒鳴り声があまりにひどいので、秘書官同士で『きょうは四〇ミリ菅シーベルト被曝したよ』などと言い合っている」

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