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ホテルやバスも コロナワクチンの集団接種会場にひと工夫

新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場となるホテル日航奈良の宴会場=奈良市
新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場となるホテル日航奈良の宴会場=奈良市
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 高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が、4月12日から順次始まる。実施主体の市区町村では、集団接種の会場に交通利便性の高い駅前のホテルなど民間施設を活用する動きが広がりつつある。多くの人が足を運びやすい場所にすることで、接種促進を図るのが狙い。奈良市では計3カ所の集団接種会場のうち、2カ所を民間施設の中に設置する予定。コロナ禍で厳しい台所事情を抱える企業にとってもメリットはあるとみられる。(田中一毅)

宴会場を活用

 「ホテルでの接種なら構えずに、『ちょっと行こうか』という気持ちになってもらえるのでは」

 JR奈良駅前(同市)にあるホテル日航奈良は4月以降、集団接種会場として活用されることが決まり、総支配人の真柳(まやなぎ)宏二さんはこう話す。

 接種会場となるのは宴会場。立食形式で最大千人が収容できるほどの広々とした空間だ。新型コロナの影響で、宴会場の利用は激減し、厳しい状況が続いていたが、思わぬ形での“有効活用”となる。

 ただ、感染防止の徹底など細心の注意が求められる。このため接種後に待機する別の宴会場も確保し、密とならないようにするほか、接種前はエスカレーター、接種後はエレベーターをそれぞれ利用してもらい、動線を分ける工夫もする。

 真柳さんは「医療従事者の休憩用の部屋も用意したい。誘導は従業員も協力できれば」と意欲をみせる。

空調も完備

 奈良市は1月ごろから、集団接種の会場探しをスタートさせた。期間は4月から9月末までを想定し、市内の体育館や福祉センターなど公共施設5カ所以上を視察した。だが、体育館は高校の部活動やバレーチームの試合予定で埋まり、調整は難航。地域の小さな公民館では十分な駐車スペースの確保が難しいこともネックとなった。

 このため、民間施設を活用する方針に転換し、公民館に加え、同ホテルと商業施設「ミ・ナーラ」を借りることにした。

 この施設は、奈良市役所から徒歩約5分の場所にある。700台以上が止められる駐車場や、最寄り駅からの無料送迎バスもあり、担当者は「地元の人にとってなじみのある場所。利用してもらいやすいのでは」と話す。

 同市は65歳以上の高齢者について、まず3カ所の集団接種と医療機関など約200カ所の個別接種を組み合わせ、接種を進める計画だ。今後一般の接種では真夏になることが予想される。市の担当者は「民間施設は空調設備も完備しているので熱中症対策にもなる」とし「快適な空間が市民の接種率のアップにつながれば」と期待する。

バスの利用まで

 一方、大型観光バスを接種会場に活用するプランを自治体側に提案する会社も登場している。千葉県佐倉市のバス会社「なの花交通バス」だ。

 活用するバスはリフト式で車いすの人や高齢者でも乗降が可能。車内の座席約10席を取り外し、飛沫(ひまつ)防止対策を施すなど特別仕様にし、接種用と接種後の待機用の計2台を1セットで利用してもらう。費用は運用時間や移動距離にもよるが、12時間で10万円弱と見積もる。すでに自治体向けの説明会も実施し、複数の自治体が興味を示しているという。

 団体旅行や修学旅行が激減し、苦境に立たされているバス業界だけに、同社の担当者は「今回の提案が、コロナで苦しい業界全体を助ける動きにつながれば」と話している。

医療従事者確保も

 高齢者のワクチン接種体制について、全国知事会が2月に公表した調査によると、約1600の市区町村のうち、個別接種と、大きな会場での集団接種を組み合わせると回答したのは約4割で最多だった。

 中でも足を運びやすい集団接種会場の選定は、スムーズな接種につながる鍵となり、担当者は「民間施設を活用する自治体は増えるだろう」と指摘する。

 こうした流れに応じる民間企業も出始めている。流通大手のイオンは、イオンモールなどの施設を約30の自治体に会場として提供することを決定。約310の自治体と協議中だという。

 今後について、ある自治体関係者は「まだまだ医療従事者が足りていない」とし、「接種業務だけでなく、住民の不安や相談に対応できる医療従事者の配置も重要だ」と話している。

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