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認知症高齢者の孤立なくせ 僧侶らの団体「恩送り」、VRも駆使

最新技術を駆使し、部屋がつながっているかのような感覚を作るテレビ会議システム「窓」を体験する参加者ら=2月19日、千葉県松戸市(石原颯撮影)
最新技術を駆使し、部屋がつながっているかのような感覚を作るテレビ会議システム「窓」を体験する参加者ら=2月19日、千葉県松戸市(石原颯撮影)

 宗教・宗派を超えて宗教者が集まる一般社団法人「恩送り」(東京都豊島区)が、認知症患者との共生社会に取り組んでいる。ソニーや介護事業者と組んでVR(仮想現実)など最新テクノロジーを活用した認知症高齢者の孤立問題の解決に向けた事業は、経済産業省の認可を受け、実証を重ねている。見据えるのは「無縁社会」からの脱却。代表理事の新田崇信さんは「血縁だけではなく、一人一人が支え合える社会を作りたい」と力を込める。(石原颯)

VR使って体験

 「行きますよ、1、2、3…」

 数十メートルはあろうかというビルの屋上。足元を見下ろすと車道が広がる。なのに介護士の女性は足を踏み出すよう迫る-。

 2月中旬に千葉県松戸市の法要館で行われたイベント。恩送りなどが認知症患者との共生について考えようと開催した。先述した場面は、来場した約20人が装着したVRゴーグルの中で繰り広げられた光景だ。視空間失認のある認知症患者の実話から作られたもので、恐怖で足がすくみそうになりながらも一歩を踏み出すと、実は車から降りただけだったという結末だ。

 参加者は幻視などを伴うレビー小体型認知症など、さまざまなタイプの症状を追体験。介護施設で勤務していたという看取り士、中屋敷妙子さんは「話では聞くことはあったが、VRで見てみると全然違う」と驚いた様子だった。

宗教宗派問わず

 恩送りは宗派を超えて社会問題を解決していきたいという願いから、3年前に発足した。現在は首都圏を中心に約30人が所属。僧侶だけでなく神職もいるという。継承者がおらず墓じまいを考えている人らのための遺骨預かりセンターや、宗教宗派を問わない礼拝所の運営といった専門分野に近い活動から、障害者支援、依存症回復支援などに取り組んできた。

 認知症は、恩送りの終活支援の中で依頼人が「万が一あったらどうするという中の一つ」(新田さん)で、支援に乗り出した。昨年からソニー開発の「窓」と呼ばれるビデオ会議システムを活用し、介護施設で暮らす高齢者と家族の部屋をつなぎ、効果を検証している。VRを開発したシルバーウッドを含め4社の共同事業として、実証実験は経済産業省に認定された。

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