PR

ライフ ライフ

【話の肖像画】歌舞伎俳優・中村獅童(48)(5)「後ろ盾」なくても…

 大学3年生のころから、歌舞伎の仕事も少しずつ入るようになり、「若き日の信長」という新作歌舞伎の群衆役をいただきました。稽古をやっていると、言葉を交わしたこともない勘三郎の兄さんが突然、僕のほうを見て「はいっ、君」って。なんか怒られるのかなと思っていたら、「あんた、とってもいいよ。その気持ちでやりなさい」ってほめられた。

 群衆の一人だけど、一生懸命やればお客さんも1人か2人はちゃんと見ていてくれるかもしれないって信じながらやっているときだったから、本当にうれしかったです。ここから勘三郎の兄さんとの付き合いが始まりました。

 《平成6年、祖母・小川ひなが死去。89歳だった》

 やはり「萬屋」という一家の大黒柱でしょう。その人がいなくなってしまったのだから大変でしたよ。臨終の際に、祖母は僕の両親に「せっかく襲名したけれど、獅童を歌舞伎役者にするのは諦めなさい。この世界(歌舞伎界)に父親がいないのは首のないのと同じこと」と言ったそうです。親から子へと芸が引き継がれる歌舞伎の世界では、父親という後ろ盾は何よりも重要なんですよ。でも、僕は歌舞伎役者を諦めなかった。(聞き手 水沼啓子)

次のニュース

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ