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【話の肖像画】歌舞伎俳優・中村獅童(48)(2)「萬屋の嫁」徹した母

 祖母はとにかく昔かたぎの厳しい人でしたね。母の着物姿を見て、「なんだね。変な取り合わせだね」と容赦なかった。ごひいき筋にごあいさつに伺って、嫁が何か粗相をしようものなら、先方とはにこやかに話しながら、テーブルの下で嫁の足をぎゅっと踏みつけるような人だった。

 母が怒られて悔しくて泣いているところを、小さいときによく見ましたよ。ちょっと理不尽じゃないかなと思うときもあった。母もきっと心の中では祖母のことを憎んでいるんだろうなと思って、一度、お袋に「おばあちゃまのこと、嫌いでしょう? 僕のせいで頭を下げたりして、いい思いしないでしょう?」って聞いたことがあるんですよ。そうしたら、「心の底から尊敬している。大好きよ」って。本当に愛していました。祖母の人柄なのかな。

 《6歳のとき、日本舞踊や長唄を習い始める》

 父も母も、僕に歌舞伎をやらせようという気はなかったんです。僕が子供のころ、祖母の家には週に1回、毎週日曜日に家族そろって行っていたので、そのときに「僕も歌舞伎をやりたい」と、祖母に頼みました。

 祖母は「その前に踊りと長唄と三味線のお稽古をしないといけないから、お師匠さんのところにごあいさつに行きましょうね」と、最初のごあいさつのときだけ付き添ってくれました。そのあとは、定期券を首からぶら下げて一人で行っていました。歌舞伎座の舞台があるときも、地下鉄で通っていました。(聞き手 水沼啓子)

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