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【本ナビ+1】シンガー・ソングライター 丸山圭子 時を経ても変わらぬこと『花は散っても』

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『花は散っても』坂井希久子著(中央公論新社・1650円+税)

 アンティーク着物のネットショップを営む美佐は、実家の土蔵にあった装飾金具付きの時代箪(たん)笥(す)から、銘仙の着物と、その着物を着た美少女の写真、そして3冊のノートを見つける。ノートは美佐の祖母、咲子の手記で、書き出しには「あの幻灯のように美しい日々のはかなさと、愛(いと)おしさ。そしてじくじくと膿(う)むわたくしの、悔恨の棘(とげ)をここに記します」とあった-。

 美佐と咲子、2人の運命が交互につづられる物語。

 咲子は父母を亡くし、昭和11年、9歳で養女として名家・川端家に入る。そこには同じ年齢だが、誕生日が早く、みめ麗しい「龍(たつ)子(こ)姉さま」がいて、咲子はひと目で心を奪われる。その後、2人は絆を強め、咲子は龍子のそばに一生仕えると誓う。

 やがて戦争が始まり、本格化すると優雅な生活が一変。東京大空襲の火の海のなか、咲子は龍子の手を引いて命からがら逃げのびる。咲子の龍子への忠誠は変わらなかったが、2人の前に思いもよらない出来事が待っていた。

 一方の美佐は39歳。結婚して8年も子宝に恵まれず、不妊治療に苦しんでいた。離婚を望むしゅうとめの執(しつ)拗(よう)ないびりに耐えかね、夫と別居、アパートで1人暮らしを続けている。そんな折、ノートに書かれた祖母の秘密を知り、祖母の人生と自分の生き方を見つめ直していく。

 戦争の時代に翻弄された咲子たち。同じ時代を生きた私の母親もよく「一番いい娘時代を戦争に奪われた」と話していたが、本作を読んで、その切ない思いが胸に迫った。ただ、美佐や私たちが生きる現代にも、女性が息苦しさを覚える状況はある。

 時を経ても美しさが色あせない着物のように、いつの時代も変わらぬ命の大切さ、人を愛する、人に尽くすことの純粋さが物語から伝わってきて感動した。

12星座の恋物語/角田光代、鏡リュウジ著(新潮文庫・550円+税)

 占星術研究家の鏡リュウジ氏が、星座別に性格や運勢、恋愛までを分析。それに基づいて作家の角田光代さんが12星座の男女の恋物語を丁寧につむいだ「星座小説集」。

 いつだって格好いい牡羊座からはちゃめちゃ魚座まで。自分に当てはめたり、家族や友人を思い出したり。占星術の奥深さを楽しめる。

      ◇

 まるやま・けいこ 埼玉県出身。昭和51年、「どうぞこのまま」が大ヒット。アルバム「レトロモダン~誘い」を中心にライブ活動中。著書に『丸山圭子の作詞作曲・自由自在』。洗足学園音大客員教授。

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