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深夜まで営業か、時短か…揺れる食堂店主

緊急事態宣言の再延長を機に深夜営業を再開した中華料理店「ニュータンタン草加」=9日午後9時40分ごろ、埼玉県草加市
緊急事態宣言の再延長を機に深夜営業を再開した中華料理店「ニュータンタン草加」=9日午後9時40分ごろ、埼玉県草加市
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 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、解除の是非が問われている首都圏1都3県の緊急事態宣言。2カ月を超える宣言で、午後8時までの営業時間短縮要請が「日常」の一部となってしまった飲食店は苦悩の日々が続いている。要請に従う店が大半を占める一方、常連客への責務だとして深夜営業を再開する店も。感染予防の社会的役割を担うべきか、「街の食堂」としての役割を果たしたほうがいいのか。店主らの思いは揺れている。

■酒飲まず、長居せず

 埼玉県草加市の県道沿いにある「ニュータンタン草加」。宣言再延長後の今月9日、閉店要請時刻の午後8時を過ぎても作業服姿の男性がニンニクとトウガラシの効いた名物「タンタンメン」をすすり、炒め物を黙々と口に運んでいた。

 店は同日から午前2時までの通常営業を再開。残業後に店を訪れた市内の30代夫婦は「酒を飲むわけでも長居をするわけでもない。共働きで残業をすると晩ご飯を作る気にならないし、毎回コンビニ弁当では飽きる。店が開いているのはありがたい」と話した。

 昭和59年創業の同店は、近隣住民をはじめ、深夜まで働くトラックやタクシーの運転手らの食を支える「地域の食堂」として親しまれてきた。コロナ禍でも「店を開けてほしい」という常連客は多く、1月の緊急事態宣言発令後も、感染対策を取った上で、午後6時から午前2時まで通常営業を続けていた。

 だが、新型コロナの改正特別措置法が2月13日に施行。宣言の対象地域で事業者が知事の時短命令に従わない場合、30万円以下の過料が科されることになった。「法律には従うしかない」。店主の梁祥亀さん(67)は、店内営業を午後8時までに早め、テークアウトに力を入れた。

 以降、8時以降は店の外に客が並んでいても入店を断らざるを得なかった。「テークアウトでは…」と諦めて帰る客もいた。

 「せっかく来てもらったのに申し訳ない。存在意義を果たせていない」。3月に入り宣言再延長が決まったが、批判を覚悟し、深夜営業の再開に踏み切った。

 店が営業を続けなければ食材や酒類の納入業者がつぶれ、店側も仕入れ先を失う。何より、夜遅くまで働く人々の「食堂」としての役割がある。過料を科されても仕方ないとも考えている。梁さんは「一律の時短ではなく、感染対策の費用や減らした座席分の売り上げを助成することも検討し、営業を続ける道を示してほしい」と訴えた。

■やれば客は来るが

 1月の宣言以降、ほぼ休店していたJR板橋駅そばにある中華料理店「平家」(東京都板橋区)は、再延長のタイミングで営業を再開したが、要請に従い、午後8時で閉店している。

 普段は午前0時半までの営業で、こちらも地域住民や帰宅途中の会社員らでにぎわってきた街の食堂だ。

 だが、店を再開して約1週間、客足は戻らず、1日に5、6人という日もある。店主の仲宗根玄義(ひろよし)さん(54)は「通りに人は歩いているが、店には入ってこない。売り上げは2、3割で、時短の協力金をもらっても足しにならない」と窮状を訴える。

 「本当は夜中まで店を開けたい。やればお客さんは来る」。特製ギョーザなどの人気料理もあり自信はあるが、感染拡大を防ぐため「要請には従わなければ」という思いが強い。

 「我慢のしどころ。周囲の店が閉めているのに、うちだけが開けるわけにもいかない」。仲宗根さんは、こう話した。

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