高齢者施設での感染抑止に注力 埼玉
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が再延長期間に入り、首都圏1都3県では徹底した感染の抑え込みが課題となっている。埼玉県は、重症化した場合に病床を長期間使う可能性が高い高齢者への対応に力を入れ、入所施設での感染対策を強化する構えだ。
県は今月から、感染防止策の専門知識を持つ「感染管理認定看護師」が、高齢者施設に対してオンラインで指導や助言を行う取り組みを始めた。
9日には、グループホーム明日葉かぞ(加須市)で感染者が出たという想定で、施設と看護師、県の3者をオンラインで結んだ訓練が行われた。看護師は、動画を通じて施設の状況をリアルタイムで確認し、感染を広げないための具体的な対策を伝えた。
訓練後、施設運営会社役員の布田幸代さんは「感染が出た場合は初動が大事だ。オンラインでタイムリーに指導が受けられることはありがたい」と話した。
県は高齢者施設に対し、入居者と職員の健康管理、個人防護具の適切な着用などを徹底することも呼び掛けている。
埼玉県内では、高齢者施設の職員や入所者らによるクラスター(感染者集団)が相次いで確認されており、対策が急務となっている。県幹部は「高齢者施設は『密』の状況が生まれやすく、ひとたび感染が起きるとクラスターに発展しかねない」と指摘する。高齢の重症患者が増加すれば医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は避けられない。
一連の感染拡大防止策によって県内の新規感染者数は減少ペースにあるものの、大野元裕知事は「減少のペースが落ちている」と危機感を示す。ワクチン接種の本格化を前に対策のさらなる徹底を図り、医療関係者の負担増を回避したい考えだ。
(中村智隆)