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治療薬めぐる人間ドラマ 下山進さん「アルツハイマー征服」 

 大手製薬エーザイのアリセプトは対症療法薬で、8カ月から2年で効かなくなる。根本治療薬がないことで患者や家族を苦しめてきたこの病気に今、一筋の光が差そうとしている。エーザイと米バイオジェンが共同開発したアデュカヌマブが昨年、日米欧で承認申請され、このうち米食品医薬品局(FDA)が6月7日までに判断を下す見込みなのだ。承認されると、病気の進行自体に直接介入する初の薬となる。

 高卒でアリセプト開発を指揮した研究者、名声にとらわれデータを捏造してしまう科学者、自らアルツハイマー病を発症した女性研究者…。多様な登場人物の人生が絡み合い、創薬へとつながっていくようすが壮大に描かれる。

 全患者の1%ほどの遺伝性アルツハイマー病の患者や家族のエピソードも本書の柱となっている。下山さんはその理由を「彼ら、彼女らの献身によってアルツハイマー病全体の解明が進んだから」と話す。遺伝性アルツハイマー病は50%の確率で遺伝し、その遺伝子変異を受け継げば100%発症する。遺伝子の突然変異の特定から病気のメカニズムがわかり、承認を待つアデュカヌマブの開発までつながった。思春期に母親が発症、病気の進行を間近で見てきた女性が17年、ロンドンで開かれたグローバルな家族会で行ったスピーチは感動的だ。

 下山さんは「400万人いるといわれる日本の患者や家族にぜひ読んでもらいたい」と話している。

(平沢裕子)

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