【話の肖像画】「世界の盗塁王」元プロ野球選手・福本豊(73)(3)花の44年組、切磋琢磨の日々

《昨年のプロ野球日本シリーズは、セ・リーグ王者の巨人がパ・リーグのソフトバンクに2年連続で4連敗、衝撃の結末に両リーグの野球の違いが話題となった。自身はパ・リーグの阪急(現オリックス)で20年間、プレーした》
昨年の日本シリーズについて、始まる前に勝敗予想を聞かれると「第1戦で負けたら巨人はあかんな」と言っていました。結果はやっぱりそうやったね。ソフトバンクは選手層が厚い。(昨年、13試合連続盗塁で自身の日本記録を塗り替えた)周東佑京(しゅうとう・うきょう)選手でも「のんびりしていたら抜かれる」と言っていましたからね。レベルの高い選手がなんぼでも出てくるから、選手は休む暇がない。自分のレベルを上げるため、人と差をつけるために練習している。
他の選手に追いつくために倍の練習をしたってなかなか追いつかへんし、1回差をつけられると、その差をつめるためには相当な努力をしないとあかんのです。がんがん練習していくなかで体を鍛えて強くして、故障しない体をつくる。技術も上げていかなあかん。練習をぎょうさんして負けるのは悔しいでしょう。だからチームが強くなる。
僕らの時代は「人気のセ、実力のパ」と言われて、パの僕らはなかなかメディアに取り上げてもらえなかった。それが交流戦をやりだして、パ・リーグも見てくれるようになった。だから人気の面でも選手たちは差をそんなに感じていないでしょうね。