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【朝晴れエッセー】夢舞台を美しく・2月22日

 とある文化施設で清掃部門の責任者を任され、もうすぐ1年になる。

 この施設は大小ホールに加え、ダンスや楽器練習のための諸室などの貸し出しを行っており、市のランドマークの1つになっている。

 館の建物、敷地面積はともに1万平方メートルを優に超え、内外の美観維持は決して容易ではない。日夜、スタッフの皆さんと縦横無尽に移動している。また、このコロナ禍において、従来の日常清掃に除菌作業が加わり慌ただしさが増していた。

 ある日、外周の落ち葉清掃をやっとのことで終え、事務所に戻るとき、楽器を運んでいる学生たちの中からこんな声が聞こえてきた。

 「うまくやれるかな…」

 「大丈夫だよ! あれだけやったから!」

 その日は各校の吹奏楽部の発表会が大ホールで予定されていた。心の中で「頑張って!」とエールを送りながら、ふと長女、次女のことを思い出した。

 2人とも学生時代、吹奏楽部に所属し、ともにアルトサックス。早朝から放課後遅くまで頑張っていた。舞台上の本人たちよりも見ていた私の方が緊張していたこと。

 私にとって見慣れた光景も、出演者、観客の方々にとってまさに夢舞台なのだ。

 忘れかけていた初心を思い出した。そして、できることは精いっぱいやろうと心に決めた。それ以来、気のせいだろうか、落ち葉を集める音がカラカラと心地よく響くようになった。

西尾学 50 大阪府東大阪市

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