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【朝晴れエッセー】1月月間賞 『手形の記憶』島田麻子さん(48)

朝晴れエッセー1月月間賞に輝いた島田麻子さん(上)と亡くなった娘の彩香さん(下)。平成27年11月21日撮影。彩香さん3歳のお祝いの際に撮影。
朝晴れエッセー1月月間賞に輝いた島田麻子さん(上)と亡くなった娘の彩香さん(下)。平成27年11月21日撮影。彩香さん3歳のお祝いの際に撮影。
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 朝晴れエッセーの1月月間賞に、島田麻子さん(48)=埼玉県桶川市=の「手形の記憶」が選ばれた。当時5歳のまな娘を病床でみとった作者の体験がつづられた作品。娘を思い続ける母の姿が共感を呼び、つらい最期を克明に描きつつも、抑制された筆致にも支持が集まった。選考委員は作家の玉岡かおるさんと門井慶喜さん、山田智章・産経新聞大阪文化部長。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発出を受け、選考会はリモート形式で行った。

 ≪受賞作≫

 ■手形の記憶 島田麻子さん(48) 埼玉県桶川市

 またつらい1月がやってきました。

 インフルエンザにかかり高熱で寝こんでいた5歳の娘は、あの朝、私の呼びかけに応じなくなりました。

 救急車で運ばれた病院で脳症との診断を受け、娘の命が危険にさらされていることを知りました。あまりにも突然のことで、私の呼吸はみだれ、めまいで立っていることができず、涙が溢(あふ)れていました。

 娘はどんどん悪化していきました。たくさんの管につながれた姿を見るのが苦しく、これが夢であったらと願いました。

 私からおしゃれな娘だと聞いた看護師さんが、自宅からお気に入りの洋服を持参してみてはと言ってくれました。私は少し前に娘が自分で選んだピンクの花柄のワンピースを娘の体の上にかけてあげました。

 入院5日目、抱っこしてみませんかと声をかけられ、寝たままの娘を膝にのせました。

 16キログラムの体はずしんと重く、頭は新生児のようにぐらぐらでした。娘の顔がみるみる青白くなっていくのがわかり、これが娘との別れとなりました。あの時の感触を今も忘れることはありません。

 わが家のリビングには、最期の時の娘の手形が飾ってあります。小さな手形の上に私の手をのせてみて、3年たった今、この娘の手はどのくらいの大きさになっていたのかと考えます。

 手形を見ていると、悲しい記憶がよみがえります。しかし、私にとってこの手形は、かけがえのない形見であり、娘が生きた証なのだと思っています。

 ≪受賞の言葉≫

 ■娘が生きた証し

 娘の彩香が亡くなり3年が過ぎ、家族以外で彩香の話が出ることはなくなりました。もう誰の記憶の中にも残らない彩香のことを思うと寂しくなります。

 みなさんに読んでいただけたことが彩香が生きた証しになるのだと思い、大変感謝しています。また月間賞までいただき、ありがとうございました。

 危篤といわれてからも、3日間生きてくれた彩香にあの時私は、もう頑張らなくていいよと声をかけました。私の声が届いたのでしょうか。彩香の右目から涙がにじんできました。

 一緒に過ごせたのは5年2カ月でした。私にとって本当に楽しい大事な時間でした。彩香の手形は、私たち家族全員の手形と合わせて、1本の家族5人の木となり、リビングに飾られています。

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