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【ビブリオエッセー】私のカラダにも刻まれた青春 「ハイキュー!!」古舘春一(集英社ジャンプコミックス)

 この漫画を読んで、高校生の頃の自分を思い出した。受験に失敗し、どこか張りのない大学生活を送っていた私にとって、部活に明け暮れたあの日々はとてもキラキラして見えた。そんな時、友達に薦められて読み始めたのが、バレーボール(排球)にかける男子高校生の青春を描いた『ハイキュー!!』だった。

 主人公、日向翔陽と影山飛雄を中心に、烏野高校男子バレー部の部員たちと、次々に現れる強豪校の選手たちが戦いを通して成長していく物語だ。一戦一戦が細かく描かれ、登場人物の個性がまた魅力だ。

 数あるキャラクターの中で一番関心を持ったのは稲荷崎高校のキャプテン、北信介だった。彼は高校時代、卓球に明け暮れた私の姿によく似ていた。関西弁の言葉が心に刺さる。

 「いつも以上の力を発揮しようとするから緊張するんやろ」と語り、「自分はしくじらないという自信」に満ちている。そして、「俺を構築すんのは毎日の行動であって“結果”は副産物にすぎん」というドライな物言い。

 「雑巾かけの一往復 ボール拾いの一本 スクワット無限回 その後の美味い飯で 俺らの身体はできとんのや」「筋肉ならいっぱいつけてきた この先怖いもんなんか無いわ」

 練習してきたすべてが自分の身体に刻まれ、生涯残り続ける。これを読み、私も今まで続けてきたことは自分の中に残っている、無駄じゃなかったと思い、心が軽くなった。

 新型コロナの影響で高校最後の大会を行うこともできなかった後輩たちへ、私はこの漫画を届けたい。部活に励んだ日々や流した汗はただの思い出になったわけではない。すべてが自分たちのカラダに刻まれている。かけがえのない青春を駆け抜けた証しとして。

 奈良市 古谷初奈 20

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~金曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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