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【絵本をあじわう 子供とともに】「しりとり」 絵から広がる新たな世界

 平成30年に福音館書店から刊行された『しりとり』(安野光雅作、絵)は、小さな子供からお年寄りまで、一人でも誰かと一緒にでもしりとりを存分に楽しめます。と同時に、その絵から、新たな世界が広がることを可能にする絵本です。

 表紙から裏表紙まで250点以上の物や動植物の絵が描かれ、本文ページにはその名前がひらがなで記されています。はじめのページの中から好きな絵を選び、その絵としりとりができる絵を次のページで探します。最後のページで、「ん」で終わる絵につながればおしまいですが、つながらなければ最初のページに戻って、しりとりは続いていきます。

 私の知人のお宅では、言葉を覚え始めたチコちゃんが、この絵本のページをめくっては自分が知っている物を見つけ指さしながら、その名前を得意げに言いました。チコちゃんのお姉ちゃんで5歳のマコちゃんは、しりとりを繰り返し楽しむ中で、「いんきってなぁに?」「え? これ、えもんかけって言うの? ハンガーじゃないの?」と初めて知る物や名前に関心を持ちました。そして、おばあちゃんの家で着物を掛けた衣紋掛けを見せてもらい納得しました。また、90歳になるひぃおばあちゃんに「ひぃばぁちゃん、ここのページから好きな絵を1個選んで! くまから始まったら、次はね…」と一緒にしりとりを楽しみました。この本を熟知したマコちゃんの解説にひぃおばあちゃんは目を細めました。

 淡い色調の水彩画で描かれた安野さんの絵は表情豊かで美しく、どこか懐かしさを覚えます。自然とともにあることを大事にした安野さんが描く生き物や草木には心ひかれます。鳥の「みそさざい」のさえずりを聞きたくなるし、野草の「ぬすびとはぎ」のことをもっと知りたくなります。絵の力です。

 安野さんは昨年末に亡くなりました。最後の作品となった『なぞなぞ』(福音館書店、令和3年)は、空想の世界を味わうことの豊かさを安野さんが教えてくれるようです。(国立音楽大教授・同付属幼稚園長 林浩子)

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