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クルーズ船感染拡大は当然 乗客夫婦が語る過酷な隔離生活

 国が乗客乗員計10人の感染を明らかにした5日に船内隔離が決まった。船外の情報はテレビの国際ニュースのみ。夫婦の船室は当初海側で、救出活動の様子は岸壁側の友人からの電話が頼りだった。政府からのアナウンスは不十分で、電話で担当者を尋ねても、「全然回答がなく、ひどい状態だった」と男性は言う。

 通路には常時、乗員が立ち、乗客の出入りを監視。部屋のドアの換気口をふさがれたときは、妻も「自分たちが感染している可能性があるという意味なのか、感染から守ってくれるということなのか。疑心暗鬼になった」。長引く隔離生活で、精神的に追い詰められる乗客も相次ぎ、通路からは「ふざけるな」「何が大丈夫だ!」という怒声がたびたび聞こえてきた。

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 船が転回し、船室が岸壁側に移ると、自衛隊や救急隊の姿が見えるようになった。「夜中も救急車で感染者を運び出していた。自分たち以上に心配だったのは船員たち。食事の配膳やトイレ掃除など感染リスクのある作業を続けていて、気の毒に思った」という。

 最終的に全員検査の方針となり、夫婦が検査を受けられたのは16日ごろ。周囲が次々に下船していく中、夫婦に陰性の結果が知らされたのは21日。同日、下船した。夫婦は「感染したと思い込み、それが一番つらかった」と振り返った。

 自宅に戻った後も、外出や他人との接触を極力避けるなど、居心地の悪い生活がしばらく続いた。「乗客だったことはとても口外できる雰囲気ではなかった」。ただ、男性の仕事の同僚には知れ渡っていたようで、肩身の狭い思いを味わいながら過ごした。

 あれから1年がたち、「多くの船員が懸命に対処してくれ、海上で横断幕を掲げてくれた人にも励まされた」と前向きに受け止められるようになった。一方で、その後も続いた感染者への偏見・差別については、教訓として後世に伝えたい。「批判してもコロナはなくならない。自分が感染しない、感染させない意識を高めていくことが大切ではないか」

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