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【聞きたい。】濱野京子さん 『with you』

濱野京子さん
濱野京子さん
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■「ヤングケアラー」の現実描く

 高校受験を控えた悠人が夜の公園で出会った少女、朱音(あかね)。徐々に距離が縮まっていく中、悠人は朱音の母親が病気のため、彼女が家事や看病に忙殺されていることを知る-。

 病気や障害のある家族の介護や家事を担う18歳未満の子供「ヤングケアラー」が大きなテーマだ。近年は報道も増えてきたが、まだその存在は知られていない。

 「2年ほど前、ラジオ番組でこの言葉を知って、作品で書きたいと思いました。名前を持つことはとても意味が大きい。貧困や家庭内暴力は社会的に注目されているし、それなりに支援のルートもある。でも、介護の担い手として子供は想定されていませんし、明確な支援の窓口にたどりつけない感じがありました」

 《わたしががんばるしかない。だって、逃げるわけにはいかないでしょ》

 《学校では、楽しそうな顔でいたい。そうでないと、まわりが白けるし》

 朱音がもらした本音からは、助けを求められず、孤立した状況が伝わってくる。朱音の父親は単身赴任中だ。落ち込む母親を励まし、妹の面倒を見て、勉強に割く時間もない。

 「思い返すと、私自身も子供のころ母親が病気でした。きょうだいが多かったので大変な思いはしていませんが、学校でそのことは話しませんでしたね」

 重いテーマの一方、中学生のラブストーリーであり、成長物語でもある。朱音と関わり、悠人は家族や友人の知らなかった一面に接し、人間関係を捉え直す。物語は前向きな結末を迎える。

 「臆面もなく希望や理想を語ることができるのが児童文学。生きることには意味があるし、人はやり直せる。そういった言葉を浴びて、子供たちには成長してほしい」と作品に込めた思いを語った。(くもん出版・1300円+税)

 油原聡子

【プロフィル】濱野京子

 はまの・きょうこ 昭和31年、熊本県生まれ。『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞受賞。ヤングアダルト向けを中心に多くの児童文学作品を執筆。『夏休みに、ぼくが図書館で見つけたもの』など著書多数。

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