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「医師往診、検討を」自宅療養者急増、保健所の支援限界に

 新型コロナウイルスの感染判明後に自宅療養を続ける人が増え続けている。厚生労働省の調査では、過去4週間で4倍に急増。自宅や宿泊施設で療養中に死亡した人も昨年12月から今年1月25日の間に12都府県で29人確認された。歯止めがかからぬ感染者の増加に保健所などの支援体制は限界を迎えており、専門家からは「医師の往診を検討すべきだ」との声も上がる。(石原颯、大森貴弘)

ホテル希望も…症状8日後に

 横浜市の会社員男性(59)は、1月4日午後からせきが出始め、翌5日朝には体の節々が痛んで37・4度の微熱が出た。「コロナの可能性もある」と思い神奈川県の相談窓口に連絡。同日夕、紹介された病院でインフルエンザとPCRの両方の検査を受けた。

 結果が出たのは6日夜。医師から「PCRが陽性でした」と伝えられた。8日夕に保健所から連絡が入り、保健師から体調を聞かれた後「(血中の酸素飽和度を測定する)パルスオキシメーターを届けるので計測してほしい」と告げられた。

 パルスオキシメーターは約30分後、玄関先に届いた。計測し、保健所に結果を報告すると「自宅療養か宿泊療養、どちらにしますか」と尋ねられた。同居する家族がいる男性は、宿泊療養を希望。職員は「調整します」と応じたが、宿泊施設に空きがなく、ホテルに入ったのは症状が出てから8日後の12日だった。

 現在は体調は回復したが、自宅にいる間は保健師から1日1回、体調確認の電話があったのみだった。「家族のことを考えると、早めにホテルに入りたかったが…医師の診察もなく不安だった」と振り返る。

 ■業務「選択と集中」余儀なく

 厚生労働省は重症者の治療を優先させるため、軽症、無症状者は自宅や宿泊施設での療養を基本としているが、感染の「第3波」に直面した昨年12月下旬から自宅療養者は急増。12月23日の9524人から今年1月20日には3万5394人と、約3・7倍に膨れ上がった。

 男性のように療養先が空かないなどの理由で自宅待機を強いられている人が多くを占めるとみられる「確認中」の人数も、同期間で4倍近くの1万1504人に達した。

 ただ、自宅療養者の対応を担う自治体は、重症者やクラスター(感染者集団)が発生した現場への対処対応に追われている。入院や療養先を調整する保健所職員の負担は大きく、業務の「選択と集中」を余儀なくされている。

 神奈川県は今月に入り、これまで全ての感染者に行っていた濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を、高齢者ら重症化リスクのある人に限る運用を始めた。

 調査に手が回らない「積み残し」が常態化しており、未調査の累積が約200人に達した保健所もあったことを受けた処置だ。調査対象を絞ったことで保健所が1日にさばける人数はそれまでの約1・5倍になったという。

 東京都も22日、都内の1日当たりの感染者数が300~500人程度に減少するまでの臨時的措置として、積極的疫学調査の規模を縮小する方針を各保健所に通知している。

 ■「単なる自宅待機だ」

 こうした実情について、日本感染症学会の感染症専門医で、けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は「現在の自宅療養は医療を受けているとはいえず、単なる自宅待機状態だ」と指摘する。

 病院での治療が必要かどうか見極める目安となるパルスオキシメーターの貸与は「最低限必要」とした上で「保健師ではなく医師が巡回して1日1回は症状を見られるようにすべきだ。医師会に依頼すれば十分に実行可能だ」と強調した。

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