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ワクチン接種、過疎の村はどう対応?交通手段や医師確保に課題

川崎市で行われたワクチン接種訓練。過疎地では都市部とは違った課題が浮上している(川口良介撮影)
川崎市で行われたワクチン接種訓練。過疎地では都市部とは違った課題が浮上している(川口良介撮影)
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 新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、過疎化や高齢化が進む自治体が、医療資源の乏しさに不安を抱えながら接種準備に追われている。医療機関が多く、交通網が発達している都市と異なり、過疎の村では山あいに小さな診療所が一つのみというところも。過疎化が深刻な町村を多く抱える奈良県では、「医師や看護師の確保が難しい」「円滑な接種ができるか不安だ」といった声が町村から上がり、県が接種体制の支援を検討している。(田中一毅、前原彩希、桑島浩任)

集落ごとにバス輸送

 過疎地では、接種会場までの交通手段の確保が重要な課題だ。

 総面積の約9割を山林が占め、人口約350人のうち、半分以上が65歳以上という奈良県野迫川(のせがわ)村では、接種会場を村内に唯一ある診療所に設置する想定。「希望する全員が受けてほしい」(担当者)ため、13ある集落ごとに診療所まで往復するバスを出す案が浮上しているという。「寝たきりの人がいれば、医師が接種に出向くことも検討したい」と担当者。会場での「密」対策も課題で、診療所の医師や村の職員などが調整を続けている。

 高齢化率約52%の高知県東洋町でも、町内の体育館を会場とし、数台のバスが町内を巡回して高齢者を送迎する案を検討中だ。

 一方、奈良県上北山村は、診療所に加え、歩いていける公民館などを会場とする方向で調整。高齢化率が50%近い同県山添村では、役場近くの保健福祉センターを会場にする予定で、体の不自由な高齢者には福祉タクシーを利用してもらう計画だ。村内に65歳以上の高齢者は約1600人おり、担当者は「密を回避するために、30分単位で受け付けを行い、1日200人の接種を想定している」とする。

 既存の交通システムの利用を促すのは広大な面積を有する北海道足寄(あしょろ)町だ。町内の3つの医療機関を会場とし、遠距離に住む高齢者には、現在運行中の医療機関へ向かうバス「へき地患者輸送車」の利用を呼びかける。ただ、最も遠い場所からは1時間ほどかかるといい、どれだけの高齢者が接種へ向かうかは未知数だ。

1人でも欠けると…

 さらに大きな課題となっているのが医師や看護師の確保だ。奈良県山添村では村に3つある村営診療所の医師や看護師、村の職員らが1日9人体制で接種の実施にあたる予定だが、少ない人員の中、ひとたび接種を担うチームから感染者が出れば、業務の継続は困難になる。「万が一、1人が欠けたときの対処を考えないと…」と担当者は頭を悩ませる。

 離島でも同じ状況だ。与那国島(沖縄県与那国町)では医師1人が接種を担当するというが、島の担当者は「医師がもし感染すれば、たちまち接種がとどこおる」と心配する。

 高知県東洋町は、町内の医療機関の看護師だけでは足りないため、看護師資格を持っている町の職員にも協力を要請するといい、「5、6人は確保したいので、声かけに力を入れたい」(担当者)と話す。

広域で協力体制も

 「果たして単独で接種実務が担えるのか」。小規模な町村が多い奈良県では、接種の実務を担うことへの不安が聞かれる。特に同県南部は病院やクリニックが少なく、「病院を臨時休業して医師が接種にあたると、通常医療に影響が出る可能性も考えなければならない」と県の担当者。

 このため、県では市町村間で医療従事者を協力して確保し、接種にあたる体制や、「隣接する自治体や少し離れた大きな病院へ行ってもらうという方法」(荒井正吾知事)も検討し、地域実情に合わせた接種体制の構築を支援する方針だ。

 今後、高齢者への周知や呼びかけ方法も検討課題となりそうだ。奈良県東部のある村の担当者は「東京や大阪などの都市部と異なり、ここでは感染者がほぼ出ていない。(接種せずに)様子をみようという高齢者もいるのではないか」と推測している。

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