PR

ライフ ライフ

PCR検査で変異種を早期検出 感染拡大防ぐ武器に 感染研開発、地方へ配布

 国立感染症研究所(感染研)は、新型コロナウイルスの変異種である英国型、南アフリカ型の感染の有無を検出できる試薬を開発し、全国の地方衛生研究所(地衛研)などに作製基準と検出の手順書を配布した。試薬は各地衛研で作製し、PCR検査で活用する。変異種確定までの期間が従来と比べ1週間程度短縮できる。早期検出によって監視体制を整え、変異種による感染拡大を防ぎたい考えだ。

 感染研が開発したのは、新型コロナの感染者の検体の中から変異種の疑いがあるものを見つけ出すPCR検査用試薬。通常のPCR検査では、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)のうち、比較的変異が入りにくいタンパク質の遺伝子を検出する。しかし英国型や南ア型で変異が入っている箇所は、ウイルスが細胞に感染する際の足掛かりとなるスパイクタンパク質の遺伝子で、通常の検査では判別できない。

 試薬は、スパイクタンパク質の変異した遺伝子の配列を検出でき、英国型、南ア型の感染の疑いの有無が判別できる。感染研はすでに試薬の作製基準や検出手順書を全国各地の衛生研究所に配布した。

 変異種への感染はこれまで、全国の地衛研や民間事業者などから集まった感染者の検体について、感染研が詳細な遺伝子配列を調べる「ゲノム解析」を行うことで確認。すべての解析作業には約2週間を要していた。新試薬によって変異種の疑いが分かった検体を優先的に解析することから、変異種確定までの期間が1週間程度に短縮できる。

 同様の試薬は、東京都健康安全研究センターと大阪健康安全基盤研究所(大安研)も独自に開発し、スクリーニング検査に活用している。同センターでは直近の陽性1453検体全てで検査を行い、10歳未満の女児の変異種感染が見つかった。大安研でも今月20日から陽性検体の中から10分の1程度を抽出し検査を実施。今後は感染研の試薬に入れ替える方針だ。

 大安研の検査担当者は「感染力の高い変異種を早期に発見できれば、保健所が先回りして封じ込めることができ、感染拡大防止の対策が打てる」と指摘。

 感染研の脇田隆字(たかじ)所長は「時間も手間もかかるゲノム解析に比べればずっと簡便になる。新たな手法で監視体制を強化していきたい」と話す。

 ウイルスの変異はおよそ2週間に1度のペースで生じる。感染者数が増加するほど変異の機会は増え、入国制限でゲノムには日本独自の変異が蓄積していると考えられる。

 日本ウイルス学会理事長の松浦善治・大阪大教授は「ウイルスに自然に変異が入る以上、国内流行株でも感染性に関わる部位に変異が入っている可能性が考えられる」と指摘。「英国で変異種が発見されたのは塩基配列の解析数が多かったからだ。日本も同様に、感染しやすく高病原性の変異株の出現を監視することが重要だ」と指摘している。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ