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【朝晴れエッセー】ペースメーカー・1月25日

 年のせいか朝晩の冷え込みが体にきつくなってきた。そんなとき、私が子供の頃、寒い夜、豆炭の入ったアンカを足元に入れて温めてくれた若い頃の母を思い出す。

 大正、昭和、平成、令和と大きな時代の移り変わりをたくましく生きてきて97歳となった母が、心臓のペースメーカーの4回目の電池交換をした。

 戦前、戦中、戦後と大変な時をたくましく生き、軍人だった父と結婚し5人の子供をもうけた。私が子供の頃は昨今のような便利な電化製品もなく、薪でご飯を炊き、洗濯板で洗濯し、火鉢で暖をとっていた。

 今一人暮らしの母を心配して、74歳と71歳の姉が交代で泊まり込みで面倒を見てくれている。老老介護である。ありがたい、申し訳ない。

 コロナ禍で、しばらく会えなかったが昨年末、術後の見舞いに久しぶりに顔を見に行った。縫った痕があかく腫れあがり痛々しかった。

 でも相変わらず口は達者で「元気か、ご飯たべてるか」と私が聞くと「チョット痛かった、でもまた7年電池もつってお医者さん言うてた」と素っ頓狂に答えるしわだらけの母の笑顔がかわいい。

 不便で物のない時代を生きた母。今はペースメーカーという信頼のおける医療機器によって元気な毎日を過ごしている。

 人生はよくマラソンに例えられるが、マラソンにもペースメーカーは存在する。選手の記録のために風よけになり、一定のペースで先導して走るランナーだ。

 母とともにあって支えてくれ頼りになるペースメーカー。母の人生のラストスパートを、力強く伴走してくれ。

古川喜代治(68) 大阪府門真市

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