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【Dr.國井のSDG考~置き去りにしない社会を目指して(6)】(中)ゲスト・内田和成氏 コロナは「想定外」ではない

握手ではなく「肘タッチ」を交わす医師の國井修氏(左)と経営学者の内田和成氏(三尾郁恵撮影)
握手ではなく「肘タッチ」を交わす医師の國井修氏(左)と経営学者の内田和成氏(三尾郁恵撮影)
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 「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(通称・グローバルファンド、GF)」の戦略・投資・効果局長を務める医師の國井修氏が、誰も置き去りにしない社会について会いたいゲストと対談する企画の6回目は、経営学者の内田和成氏を招いた。(中)ではリスクコミュニケーションの在り方や改善の方法などについて語り合った。

 國井 それにしても流行初期は、国によってコロナ対応が分かれましたね。東アジアでも、韓国や台湾、シンガポールなどは、SARS(2002~03年)やMERS(中東呼吸器症候群、2012年~)、新型インフルエンザ(2009~10年)で教訓を学び、次なる危機への準備態勢を強化していった。今回、韓国は中国から新しいウイルスの遺伝子配列を知った10日後に検査キットを開発して、イノベーションも取り入れて迅速に検査体制を拡大しました。命令指揮系統、リスクコミュニケーションも改善していた。

 ところが、日本はSARSもMERSも入ってこず、新型インフルも世界的に見ると死亡率は低く収まった。だから、教訓や改善点が分かっていても放置されていた部分もあるようです。感染症情報の収集、特に都道府県から国への情報の遅れ、IT化の遅れなど、これらを今変えないと、変革のチャンスを逃してしまいます。すでに保健所や医療機関ではそのキャパを超えているところがでてきている。現在、多くの友人、知人が日本の現場、中央でコロナ対策に関わっていますが、彼らから悲痛な叫びが聞こえています。

 大規模災害や健康危機が起こったとき、「想定外」や「未曾有」という言葉を使いますが、世界の歴史をたどれば「想定内」「曾有」であることがわかります。今回のパンデミックも、世界の歴史を見れば繰り返すことはわかっていた。われわれも「疾病X」として議論していました。

 内田 そうなんですね。

 國井 こういった日本の危機管理体制の問題分析や改善にも、内田先生が書かれた本にあるような仮説思考や論点思考、右脳思考などが必要だと思います。限られた予算をどう使えば、管理体制を最適化できるか、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションを改善できるか。シビアなビジネス界で進化した分析方法やプロジェクトマネジメントなどを危機管理にも応用できると私は思っています。

 特に今回、リスクコミュニケーションの重要性を思い知らされましたが、国によって大きく巧拙の差が現れました。「見えない敵」との闘いですから分からないことは多い。それが見えないために国民はまた不安になるので、情報発信の透明性、迅速性、的確性が問われたと思います。日本ではもっとリスクコミュニケーションのあり方を検討して、人材育成や実践訓練をしないといけない。

 内田 「見える化」はもっとやった方がよいでしょう。そもそも役所は情報を自分たちが管理するという考え方です。緊急時には情報を集めてからやると手遅れになりますから、日頃から情報を誰でも見られるようにしておいて、いざというときにもっとトップダウンでリーダーシップを発揮できるようにしないとダメです。

 國井 私も同じ問題意識を持っています。「見える化」については、コロナ流行に対して、世界でこれほどデータがオープン化、共有されて、さまざまな機関や市民がわかりやすいインフォグラフィックを作っている。これは過去にはなかったですね。データを公開して、皆が使えるオープンソースを使って、多くの人が情報の分析や統合に協力して情報・知恵を発信、共有していく。ほぼリアルタイムに世界中の感染症データが収集・分析・統合、見える化できるなんてできると思っていませんでした。

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