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【Dr.國井のSDG考~置き去りにしない社会を目指して(6)】(上)ゲスト・内田和成氏「全部同じように救う」は無理

久しぶりの再会となった医師の國井修氏(左)と経営学者の内田和成氏(三尾郁恵撮影)
久しぶりの再会となった医師の國井修氏(左)と経営学者の内田和成氏(三尾郁恵撮影)
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 世界の紛争地域で支援活動に携わり、現在はスイス・ジュネーブにある「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(通称・グローバルファンド、GF)」の戦略・投資・効果局長を務める医師の國井修氏。「No One Left Behind(誰も置き去りにしない)」を人生のテーマに掲げる國井氏が誰も置き去りにしない社会を目指すヒントを探る6回目の対談が、経営学者で早稲田大ビジネススクール教授の内田和成氏をゲストに行われた。収まる気配のない新型コロナウイルスの流行で、国内でも多くの課題が見つかるなか、課題解決の方法や若者への期待について話し合った。

 國井 今日は内田先生に、問題解決のためにビジネス思考をどう入れていけばよいかをお聞きしたかったんです。GFは革新的な官民連携組織と呼ばれていて、お金を投資したら何人の命が救われた、どれだけ感染者が減ったという目に見える“成果”を出さないといけません。そのためには、大きな社会課題にビジネスの思考を取り入れていくことが大事です。限られた資金で最大の効果を出すにはどうしたらいいか。無駄を減らして、効率を上げるにはどうしたらいいかなど。民間セクターでは当たり前ですけど、公共セクターではまだまだだと思います。

 内田 最近は「SDGs」の流れが企業にも広がってきましたが、もともとビジネスというのは、目標も指標が明確で、成長や利益が最優先のものです。企業はお金がなくなったときが倒産するときで、もうかるかどうかが企業の存続につながる。ところが、パブリック(公共)には共通のゴールや目標がありません。人の命も大事だけれど生活も仕事も大事。パブリックには、グローバルから国、地域、地方自治体までありますから、それぞれの集団をどうマネージするかが難しいですね。

 國井 新型コロナウイルスの世界的な流行は、そうした問題点を明るみにしたといえます。

 内田 私は過激論者なので、お金や人といった資源に限りがあるなら、80歳の人をさらに10年、20年長生きさせるためにエネルギーを使うより、若い人への教育や職業訓練に使った方が国としての将来性は高いと思います。しかし選挙の票やお金を持っているのはわれわれのような高齢者世代なので、そういうことを言う政治家は当選しない。その結果、若い人や弱い人に十分なお金が回っていないんじゃないかと危惧しています。このメカニズムはグローバルでも成り立っていて、自分たちの暮らしがある程度できてから、余裕がある分で他国を助けたいよね、となってしまいます。

 國井 グローバルヘルス(国際保健)の分野でも、経済学的なアプローチが用いられています。高齢者と若者のどちらを救った方が経済的効果が高いかとか、どのようなサービスが費用対効果が高いかとか。そうなると、若い人、子供が死ぬ病気をなるべく抑え、介入することで完全に治る病気を救った方がいいという考え方になっていきます。もちろん、倫理の問題も絡むので、声高に叫ぶ人は少ないですが。

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