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首相、成果列挙も感染拡大で打撃

【第204通常国会開会】衆院本会議で施政方針演説を行う菅義偉首相=18日午後、国会(春名中撮影)
【第204通常国会開会】衆院本会議で施政方針演説を行う菅義偉首相=18日午後、国会(春名中撮影)

 就任から4カ月で挙げた成果は数知れない。それなのに内閣支持率が下落し続けるのはなぜなのか。菅義偉首相は納得できない思いで18日の施政方針演説に臨んだに違いない。

 首相は演説で「長年の課題について、この4カ月で答えを出してきた」と語った。実績を誇りたがるのは為政者の常だが、首相の場合は単なる自画自賛とも言えない。

 デジタル庁の創設、不妊治療の保険適用にめどをつけ、携帯電話料金引き下げが実現し、NHKも受信料値下げを表明した。公立小学校全学年に35人学級を広げることが決まり、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担も単身で「年収200万円以上」の人が新たに2割負担の対象となる。

 演説で並べた政策は、さしたる抵抗もなく実現した。首相も政権発足当初は「思ったより反対する声が少ない」と拍子抜けした様子だった。その原因の一端は、首相個人のイメージにあった。

 官房長官を務めた安倍晋三政権では首相官邸の中核として、こうと決めれば押し通してきた。外国人観光客誘致のためのビザ(査証)発給要件緩和、防災目的の利水ダム活用など肝いりの課題は「菅案件」と呼ばれた。その実現に血眼となった官僚は「官邸が怖いから」と漏らした。

 反対派の批判にびくともせず、非協力的な官僚は更迭することもいとわない。その「怖さ」が政治を動かした。だが、がむしゃらに目標を追求するスタイルは新型コロナウイルス対策で強みを発揮できていない。

 首相は感染防止と経済活動の維持の「両立」を重視したが、経済を回すことだけには専心できない。感染が拡大すると、観光支援事業「Go To トラベル」は一時停止を余儀なくされた。

 コロナ禍は「怖い首相」のイメージも通用していない。ビジネス往来目的の外国人受け入れは首相こだわりの案件とされたが、自民党内から公然と批判の声が上がると方針を転換した。

 再び成果を列挙するためには力の源泉である「怖さ」が求められる。その一方で、コロナ対策では国民に行動変容を呼びかけなければならないが、そのようなパフォーマンスは首相の得意とするところではない。演説では緊急事態宣言で国民に不便をかけることを陳謝したが、気持ちを前面に出す場面はなかった。(杉本康士)

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