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【健康カフェ】先延ばしにしたくないがん治療

 新型コロナウイルスの流行が始まってから病院を受診する機会が減る、いわゆる受診控えの問題が多く聞かれるようになりました。

 糖尿病で通院している70代後半の男性患者さんは、1年ほど前にがんの疑いがあることがわかりました。しかしその後コロナ感染が流行してから、病院で検査を受けることなく何カ月も過ごしてしまいました。その結果、がんは進行してしまい、次に受診した時には「どうして今まで放置しておいたのですか」と怒られたそうです。

 コロナ感染の流行が始まって以来、患者側が受診を敬遠するだけでなく、病院側が医療を適切に提供できないということが出てきていると考えられます。

 脳卒中や心筋梗塞などに対する救急医療は待ったなしで、治療開始までの時間が分刻みで予後を左右します。しかしコロナ感染で病院の救急が手一杯になってしまえば、最寄りの適切な病院での迅速な治療ということが難しくなります。こういった治療の遅れが将来的な死亡率に影響するようです。

 米国で、がんと診断されてから治療を受けるまでの期間とその後の死亡率の関係を調べた研究結果が昨年12月に発表されました。この研究では2004年から15年までの間に、米国で比較的罹患率の高い大腸がん、乳がん、肺がん、前立腺がんのいずれかに罹患した200万人超を対象にしています。診断から治療までの平均期間は大腸がんで26日、乳がんで32日、肺がんで41日、前立腺がんで79日でした。結果はどのがんでも診断から治療までの期間が長いほど、推定の5年死亡率と10年死亡率は上昇していました。III期の大腸がんの5年死亡率であれば、治療開始まで60日以内、61~120日、121~180日、181~365日で、それぞれ35%、39%、42%、48%となっています。

 どのようながんでも治療が遅れることにより、失われずに済んだかもしれない命が失われてしまう可能性があることをこの研究は示しています。がんに限らず治療の中断や遅れは時として取り返しのつかないことが起こる可能性があることを知っておいてください。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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