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感染者2位のインド、16日から接種開始 ワクチン大国も国内普及に“壁” 

 【シンガポール=森浩】新型コロナウイルスの感染者が世界で米国に次いで2番目に多いインドで、16日からワクチン接種が始まる。人口13億のインドで大規模接種に成功すれば、新興国の新型コロナ対策の弾みともなる。ただ、国内には医療態勢の脆弱(ぜいじゃく)な地域も多く、課題は山積。インド政府は国産ワクチンの海外輸出も視野に入れるが、まずは国内での普及を成功させたい考えだ。

 「インドは2つの国産ワクチンで人類を救う」。モディ首相は9日の演説で、こう強調した。

 「2つの国産ワクチン」とは、地元製薬会社バーラト・バイオテックが開発してインド当局が3日に承認した新型コロナのワクチン「コバクシン」と、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大が共同開発したワクチンだ。アストラゼネカ製も国内でライセンス契約を結んでいる地元企業が生産するため、モディ氏はともに「インド製ワクチン」と言い表した。

 インドは世界で流通する感染症ワクチンの6割を製造した実績を持つワクチン大国でもある。モディ氏は「インドは世界の薬局だ」とアピールし、輸出に力を入れる方針も示した。

 インドでは16日からワクチン接種が始まる。まずは医療従事者ら3千万人が対象で、政府はその後、50歳以上の国民らに拡大。7月までに3億人への接種を目指す。インドは国内でポリオと結核の予防接種を定期的に実施しており、政府は医薬品の供給網を活用できると説明している。

 だが、事態はそう簡単ではない。地元紙ダイニク・ジャグランは、地方で医療機関が不足している実態を指摘。新型コロナのワクチンについて、「知識がある医療スタッフが足りない」とも分析している。政府が行った事前の予行演習では、低温に保つ必要があるワクチンを医療従事者がそのまま自転車で運ぶ様子も報じられた。

 費用に関しては、医療従事者への接種は無料だが、その他の人々の分をどうするか未定だ。国民の負担が大きければ、貧困層が多いだけに普及の足かせとなる可能性がある。また、国産ワクチンのコバクシンについては、政府もバーラト社も有効性のデータを公表していない。野党陣営や国内の専門家から「承認は時期尚早」などと効果や安全性に疑問の声が出ている。

 インドの感染者は1千万人を超えて増え続けており、政府はワクチンを感染対策の「切り札」(政府関係者)と期待する。国内では昨年11月以降、農政改革に反発する農業従事者による抗議活動が拡大し、政権には逆風が吹いている。モディ政権としては、新型コロナの押さえ込み抑えこみを成功させ、政権浮揚につなげたい局面でもある。

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