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【本ナビ+1】シンガー・ソングライター 丸山圭子 友と人生に思いをはせる『ハグとナガラ』

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 『ハグとナガラ』原田マハ著(文春文庫・570円+税)

 ハグこと波口喜美と、ナガラこと長良妙子は大学の同級生で、卒業後、それぞれ東京の広告代理店、大阪の証券会社で仕事に打ち込んできた。だが、35歳を迎えた頃、恋人にふられたうえ失業し、失意のハグにナガラは「旅に出よう! 人生を足掻(あが)こう!」と声をかける。

 ナガラのこのひと言が、ハグにとって、その後長きにわたりささやかな人生を照らす明かりになる。早春の東北、夏の裏磐梯、秋の京都、冬の九州…。季節ごとに出かける旅を通じ、二人はお互いのよき理解者となる。

 やがて認知症になった母親の介護でハグが郷里の姫路に戻り、ナガラの母親も以前脳梗塞で倒れ、ケアホームに入居。仕事にも追われ、旅はしばらく休止に。気がつけば50代、ナガラは久しぶりにハグを旅に誘う。母の介護に疲れたハグは「少しずつ、少しずつ、(母が)遠ざかっていくみたい」と言葉を詰まらせ、ナガラも涙が止まらない。

 かけがえのない友、無二の親友…いつでもすんなりと気持ちを受け入れてくれる相手は、そう見つかるものではない。ハグとナガラをつないだのは女同士、同級生、独身という同じ境遇、そして二人で出かけた数々の旅。そこで見つけてきたものは、広大な海や紅葉した山々だけではない。友の心のうち、互いに傷んだ胸のうちに寄り添うぬくもり。

 「窓いっぱいに悠々と描かれた絵具のまだ乾かない絵画のような風景」「磨き上げられたグラスに彩りの森が映り込む」-。文章には、映像が浮かび、思わず旅に出たくなるような表現がちりばめられている。

 旅はすべてを洗い流して、リセットしてくれる。友と人生に思いをはせ、心が温かくなる6つの旅物語。

 『時雨の記』中里恒子著(文春文庫・580円+税)

 鎌倉に住む未亡人で華道教授の多江と妻子ある会社社長、壬生の純愛物語。大人の恋でありながら、壬生の多江への思いはひたむきで少年のよう。映画化もされた芥川賞作家による名作。自分の気持ちを抑えて耐え忍ぶ恋。その象徴ともいえる雨が、舞台となる鎌倉や京都・嵯峨野の町並みに似合いそう。

 まるやま・けいこ 埼玉県出身。昭和51年、「どうぞこのまま」が大ヒット。アルバム「レトロモダン~誘い」を中心にライブ活動中。著書に『丸山圭子の作詞作曲・自由自在』。洗足学園音大客員教授。

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