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今年の将棋界は「藤井時代」への足固め? カギ握る渡辺三冠ら

最年少で初タイトルの棋聖を獲得した藤井聡太棋聖。今年は初防衛と最年少九段に挑む=令和2年7月16日、大阪市の関西将棋会館
最年少で初タイトルの棋聖を獲得した藤井聡太棋聖。今年は初防衛と最年少九段に挑む=令和2年7月16日、大阪市の関西将棋会館

 令和2年の将棋界は史上最年少タイトルホルダー、藤井聡太棋聖(18)=王位=の誕生に全国が沸いた。藤井棋聖のほか、渡辺明三冠(36)=名人・棋王・王将=の初の名人獲得、獲得タイトル通算99期の羽生善治九段(50)が100期の偉業を達成するかなど話題も多かった。新型コロナウイルス感染症に振り回されたが、今年も話題は尽きない。

「初防衛は堅い」

 タイトル挑戦とタイトル獲得の最年少記録をそれぞれ更新し、一気に2冠に上り詰めた藤井棋聖。今年は第92期ヒューリック杯棋聖戦、第62期王位戦でそれぞれ初防衛に挑むことになる。

 棋聖戦は現在、2次予選が進行中で、鈴木大介九段(46)や久保利明九段(45)ら4人が決勝トーナメント(本戦)進出を決めた。本戦は渡辺三冠や豊島将之二冠(30)=竜王・叡王=らシード6人を含めた計16人が挑戦権を争う。

 王位戦も予選8ブロックの通過者と、永瀬拓矢王座(28)や豊島二冠、羽生九段ら前期の挑戦者決定リーグ残留者ら4人を加えた計12人が紅白に分かれて戦い、挑戦者を決める。

 注目は藤井棋聖の両タイトル戦での防衛だ。棋聖戦など6回のタイトル戦出場の経験を持つ日本将棋連盟常務理事、森下卓九段(54)は「誰が挑戦者になっても防衛は堅いと思います」と言い切る。

 藤井棋聖は今春、高校を卒業。森下九段は「全身全霊を盤上に打ち込める。他の要素を断ち切って盤上一本になれば、さらに強くなると思う」と分析する。

 防衛に成功すると、獲得タイトル通算3期で九段に昇段。渡辺三冠が持つ21歳7カ月の最年少九段の記録を更新する。

 タイトル奪取はどうか。森下九段は「各棋戦ともほとんどがトーナメント。連続して勝ち上がるのは厳しい。挑戦者になるのは容易ではない」と指摘。だが、「挑戦権を取ってしまえば奪取の可能性は高い」と語る。

 このほか、4年連続で年度勝率8割超の記録更新も期待される。

激化する覇権争い

 獲得タイトル100期の大台を目前にタイトル戦4連続で足踏み状態の羽生九段。次のタイトル戦挑戦の可能性は棋聖戦、王位戦、叡王戦、王将戦など。

 森下九段は「藤井棋聖、渡辺三冠、豊島二冠、永瀬王座という乱世の戦いの中に割り込んでいって挑戦権を取ればタイトル獲得の可能性は高い」と推測する。

 現在、最多の3冠を保持する渡辺三冠はバランスが取れ、百戦錬磨の棋士。「経験から来る勝負のうまさは、ずば抜けている。そのうまさは今年も続く」(森下九段)。歴代4位の谷川浩司九段(58)が持つ獲得タイトル通算27期まで、あと1期だ。

 その渡辺三冠は1月に開幕する第70期王将戦で永瀬王座の挑戦を受ける。永瀬王座は平成30年の第43期棋王戦で渡辺三冠に挑戦。2勝3敗で敗れ、初タイトルはならなかった。

 その後、獲得タイトル通算3期で乱世に名乗りを上げた永瀬王座の試金石となるのが王将戦だ。渡辺三冠に挑戦した棋王戦当時と比べ、将棋の強さや棋士としての厚みが増した永瀬王座の戦いぶりが注目される。

 第33期竜王戦で自身初のタイトル防衛に成功した豊島二冠は自信をつけ、強さに磨きがかかってくるだろう。

 森下九段は今年の将棋界について、「藤井棋聖が2冠を守り抜き、タイトルを増やして“藤井体制”への道を歩むのか、それとも渡辺三冠や豊島二冠らがそれを阻止するのか」とみる。

初代「白玲」は?

 一方、女流将棋界は現在、新設された第1期ヒューリック杯白玲戦を除く7つのタイトルを里見香奈女流四冠(28)=清麗・女流名人・女流王位・倉敷藤花=と西山朋佳女流三冠(25)=女王・女流王座・女流王将=が分け合っている。

 2人は昨年、いずれのタイトル戦も防衛を果たしている。両者は第10期女流王座戦で激突し、西山女流三冠が3勝2敗で初防衛に成功した。里見女流四冠は、清水市代女流七段(51)が持つ女流タイトル獲得通算43期の最多記録に、あと1期。4つの防衛戦がある里見女流四冠が最多記録のタイ記録に並び、更新する可能性は極めて高い。

 8つ目の女流タイトル戦となった白玲戦は男性棋戦の順位戦と同様のシステムで、女流順位戦の最上位クラスであるA級の優勝者が白玲のタイトル保持者に挑戦する。第1期は現役女流棋士ら計64人が8クラスに分かれ、昨年11月からリーグ戦を戦っている。各クラスの優勝者8人による順位決定トーナメントを行い、勝ち残った2人が今年9月の七番勝負を戦い、勝者が初代白玲となる。長い戦いの末、最後に笑うのは誰か。

 奨励会三段の西山女流三冠が女性初のプロ棋士になれるかどうかも注目だ。

(文化部 田中夕介)

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