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【朝晴れエッセー】ナースキャップ・1月1日

 嫁にいき、今は使われていない娘の部屋の窓を天気の良い日には時々開け、窓外より風をよびこむ。

 この日、ふと窓の下に置かれているチェストの引き出しを開けてみると、娘の学生時代のナースキャップがしまわれているのを見つけた。

 ぽつんと淋しげに私の目には映った。

 看護学生時代、戴帽式(たいぼうしき)を迎え、看護師の象徴でもあるナースキャップを授かり、ナイチンゲール誓詞を斉唱し、看護師を目指すものとして決意を新たにしたあの日。

 実習期間中「寝たら地獄」と言いながら、ときには学友とともに徹夜でリポートを仕上げるのに必死に頑張ってきたこの部屋。看護学部入学より国家試験の合格発表の日まで、いろいろな思いをしてすごしてきたこの部屋。

 そんな娘はこの度、産休、育休を経て緊迫する医療の現場へ復帰した。

 先日「産経抄」で「看護師らの存在は、社会における泉のようなものだ」という指摘が紹介されていた。どうぞ枯れることなく滔々(とうとう)と湧き出(い)でる泉となるように…。

 希望に満ち、まだ見ぬ世界への責任感を抱き、必死に勉強した日々の思い出がかすむことのないように…。

 いつかまた、引き出しを開けてみたとき、あのナースキャップが凜(りん)として見える日がくることを母は願う。

齊藤美恵子(56) 大阪府富田林市

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