デブリ回収、来年開始を断念 福島第1 コロナ影響、1年延期検討
東京電力が福島第1原発2号機で令和3年に始める予定だった溶融核燃料(デブリ)の取り出し作業を断念する方針を固めたことが23日、関係者への取材で分かった。英国での作業用機器の試験が新型コロナウイルス感染拡大の影響で停滞していることなどが原因。遅れは1年程度とする方向で検討している。
政府と東電が平成23年12月に公表した最初の廃炉工程表でも、デブリの取り出しに10年間で着手することを目指していた。ただ、工程表はその後5回改定され、燃料貯蔵プールの燃料搬出など多くの主要工程が遅れて見直されている。廃炉作業を令和23~33年に完了する目標を維持しているが、実現できるかどうかは不透明だ。
事故でできたデブリの取り出しは第1原発の廃炉作業の最難関。炉心溶融があった1~3号機のうち、内部の状況把握が進んでいる2号機から始めることを決めている。まず試験的に1グラム程度を取り出し、徐々に規模を拡大する。