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【朝晴れエッセー】老いを生きる・12月19日

 私は66歳、すでに高齢者の仲間入り。

 右耳は突発性難聴のためにほとんど聞こえず、最近は左耳も少し遠くなったような気がする。

 そんなとき、コロナウイルスがやって来た。ソーシャルディスタンスとかで、人との距離が取られるようになった。

 スーパーのレジも、銀行も、ビニール越しマスク越しの会話。ますます聞こえにくい。

 「私、耳がだいぶ遠くなったよね」と不安気に言う私に、主人は、「大丈夫! 大きな声で話すから!」。

 耳鼻科に行ったらとか、補聴器使ってみるとかの答えを予測していた私は唖(あ)然(ぜん)とした。「そっち!」と自分でつっ込みを入れる。

 そういえば20年前に右耳が聞こえなくなったときに、音の遠近感がわからない、右側の人の話が理解できないと落ち込んでいたとき、「僕の声が聞こえているから大丈夫」と言ってくれた。

 若干不調ではあるが、確かに片方の耳は聞こえている。幸せだ。

 主人の言った「大丈夫!」は老いを悲劇と捉えず、自然に受け入れ、高齢期をともに生きていこうという思いを感じさせてくれた。

 老いは必ずやって来る。もっともっとハードルは高くなるだろう。

 でもこの人と一緒なら老いも楽しめるかもしれない。

 大西佳子 66 兵庫県三田市

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