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【朝晴れエッセー】じーじのおさがり・12月16日

 私の父が亡くなって、もう10年以上になる。実家で一人暮らしの母は、最近やっと遺品を片付けだした。

 でも捨てることができず、おやじくさい色のスーツを夫にくれたりする。

 ある夏、肌触りのいいブルーのシャツをくれた。気に入ったのは、普段ジャージの次男で、お出かけ着になった。

 大学生になって急に無口になった長男は、バイト代でオシャレな服をよく買ってくる。そんな長男が、そのブルーのシャツを着た次男に向かって、「それどうしたん?」と久々に声を発した。「じーじのやで」「ふーん」

 しばらくして、また実家で、ジャンパーをもらった。札幌旅行のときの写真に写ってたやつだ。

 「これ高かったんやで。誰か着てくれへん?」。型はいいけど、刺繍(ししゅう)がなぁ。昭和チックやからどうかな? 一応もらってリビングにかけておいた。

 そしたら、長男が食いついた。じーっと見ている。「じーじのやけど着る?」「うん」。えーびっくり。次男も三男も寄ってきて、「じーじのにおいがするー」と泣けることを言う。

 次の日、早速、白いパーカーのフードを襟から出して、今風に着こなして、行ってきますも言わずに出て行った。

 ばーば、今度写真送るわね。あっそれと、三男にも何かおさがりない?

井上晃子 46 大阪府富田林市

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