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【学ナビ】特別版 「スイーツ甲子園」決勝大会 和の美意識、ケーキで伝える

あめ細工で水面を表現するレコールバンタンのメンバー。真剣なまなざし
あめ細工で水面を表現するレコールバンタンのメンバー。真剣なまなざし
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 製菓を学ぶ高校生が、3人1組のチームでアイデアと技術を競う「第13回スイーツ甲子園」の決勝大会が11月15日、東京都新宿区の東京調理製菓専門学校で行われた。予選を突破した4校が個性あふれるケーキを作り上げ、おかやま山陽高校(岡山県)が優勝に輝いた。12月の学ナビは特別版として、新型コロナウイルスの影響が広がる中、菓子作りを学び続け、コンテストに挑戦した高校生の奮闘を紹介する。

■4チーム奮闘 個性と楽しむ気持ちあふれ

 スイーツ甲子園は、高校生パティシエ日本一を決めるコンテストとして今年で13回目を迎えた。書類選考に集まったのは全国52校117チーム。全国を東西2ブロックに分け、各ブロック8チームの計16チームが予選大会に臨んだ。

 その結果、西日本Aブロックからは、おかやま山陽高校(岡山県)のチーム「sourire(スリール)」、同Bブロックは育成調理師専門学校高等課程(兵庫県)の「Espoir(エスポワール)」、東日本Aブロックは、町田調理師専門学校高等課程(東京都)の「Mille fleurs(ミルフレア) ~千の華~」、同Bブロックはレコールバンタン高等部東京校(東京都)の「Lig(リグ)」が決勝大会に駒を進めた。

◆課題はチョコと和素材

 調理試験開始前、調理室には10人の審査員シェフが並び、高校生らは緊張した表情に。「調理試験、スタート」。パティシエの鎧塚俊彦さんの掛け声とともに、ボウルやブレンダーといった調理器具を動かす音が響き渡った。

 決勝大会では、「日本から世界へ 私たちのメッセージ」をテーマに、2時間半で自由作品のケーキを完成させる。条件はチョコレートムースを使い、和素材を1種類以上使うこと。

 鎧塚さんは「チョコレートは温度管理が大切で、扱いが難しい。いつもと違う場所で、大勢のギャラリーに囲まれるなか、普段通り作業できるかが、勝負の鍵」と指摘した。

 レコールバンタンの作品は、日本庭園や茶室の美意識を伝える『ワビサビ』。あめ細工を使って、力強い金魚の躍動感と水面の表現に挑戦した。

 リーダーの浦慎之介さんは「コロナの影響で練習回数は限られたが、集中してきた。会場の調理器具が普段と異なり、最初は慣れなかった」とコンテストの難しさをにじませた。

 東日本大震災復興への願いを込めたのは、町田調理師専門学校の作品『三位一体』。東北三大祭りのイメージを詰め込んだ。引きあめで仙台七夕まつりの吹き流しを製作するなど、繊細な作業が多く、終盤は時間との闘い。中村千咲斗さんは「スイーツ甲子園のために3年間学んできた。チームワークで乗り切る」と胸を張った。

 残り時間が30分を切ると、各チームは仕上げ作業に入り、会場は緊張感と静けさに包まれた。完成は3人そろって「できた」の声で合図。その後、見た目や味などの審査が行われた。

 大会アドバイザーでフランス菓子・料理研究家の大森由紀子さんは「作業性や衛生管理などを含め、よく訓練されていて僅差の勝負。楽しむ気持ちがよく表れていた。個性を大切に、世界に通じる菓子を作り続けてほしい」と4チームの健闘をたたえた。

■ □ ■

≪決勝大会参加のみなさんと審査結果≫

 ☆優勝(文部科学大臣賞)とタリーズ賞のダブル受賞

 おかやま山陽高校(田代なつめ、滝澤耀里、三宅紗嘉)作品名『プリエール』。レンコンを使って食感を加え、見た目と味のバランスが評価された。タリーズ賞の副賞として、タリーズコーヒージャパンのスイーツ考案に参加する。

 ☆貝印賞

 育成調理師専門学校高等課程(中江晴美、前田凌介、米倉さくら)作品名『日本の宴(うたげ)』。丁寧な調理器具の扱いが光った。貝印とレシピの共同開発を行う。

 ☆決勝大会参加校

 町田調理師専門学校高等課程(中村千咲斗、諏訪郁華、簑島瑠華)作品名『三位一体』

 レコールバンタン高等部東京校(浦慎之介、横塚和亮、中嶋晴稀)作品名『ワビサビ』

 (敬称略)

■ □ ■

【羅針盤】

 □決勝大会審査員・ノリエット・オーナーシェフ・永井紀之さん

 ■パティシエの奥深さ 知る機会に

 スイーツ甲子園の決勝大会審査員を務めた「パティスリー・ノリエット」(東京都世田谷区)のオーナーシェフ、永井紀之さん。剣道一筋の高校生活からフランス料理の道を志し、店の閉店というハプニングからフランス菓子の世界へ。以来、菓子職人約40年。今は後進の育成にも尽力する。「パティシエという職業の本質とともに、食の楽しさを伝えていきたい」という。(聞き手・宮田奈津子)

--決勝大会の感想は

 「作品のレベルが、劇的に上がっている。手先の技術が向上して、飾りの完成度も素晴らしく、よく訓練していることが分かった」

--課題も見えてきた

 「味のバランスはあと一歩だった。菓子はおいしいことが大切。今回はチョコレートと和素材がテーマだったが、『珍しいから』『チョコレートはベルギー産が有名』といった理由だけではなく、食材への根本的な理解を深めてほしい」

--課題の中にパティシエという職業の本質がある

 「一発勝負のコンクールとは異なり、パティシエは精度の高いものを店に日々並べる地道な仕事。憧れの職業として注目されるが、製菓学校で学んで現場に出ても、3年後には3割も残っていないという現実もある。夢破れているのだとしたら残念。コンクールが菓子職人という仕事の奥深さを知る機会になればいい」

--ご自身が食の道を志した理由は

 「洋食へ憧れ、モノづくりが好きだった。大学で剣道を続けて指導者になる道を考えたが、年齢とともに自身の立場が変わってしまう。“同じ価値観を生涯貫ける仕事”について考えた結果、フランス料理の道へ。就職した店が閉店した際、パティシエの方に『菓子を学んでみろ』と勧められ、渡仏につながった」

--フランスで学んだ菓子の魅力とは

 「記念日だけではなく、いつもの休日にケーキを買って、家族や友人たちと切り分けて楽しみを分かち合う。そういう人々の日常を織りなす文化を伝えられること。パンや総菜、アイスやチョコレート…。職人が手をかけ、思いを乗せ、どれも生活を豊かにするために存在している」

--パティシエを目指す人たちへメッセージを

 「菓子を作り続けてきたが、今も厨房(ちゅうぼう)に立つと夢中になり、『もう、やることがない』とはならない。働き方改革や製菓業界での人工知能(AI)台頭など、時代は変化していく。私が歩んだ40年は若い方々には、(私が経験した以上の)いばらの道かもしれず、何かを伝える難しさを痛感している。ただ、食は楽しい。小麦粉やバターといった素材を、おいしく、美しく、形にできる学びの道を歩き続けてほしい」

【プロフィル】永井紀之

 ながい・のりゆき 昭和36年、東京都出身。辻調グループフランス校卒。東京都世田谷区の仏菓子店「オーボンヴュータン」を経て渡仏。パリのレストラン「ミッシェル・ロスタン」など、欧州で6年間修業。平成5年に「ノリエット」を開業した。

■ □ ■

 主催  :産経新聞社

 特別協賛:貝印

 協賛  :タリーズコーヒー ジャパン

 協力  :中沢乳業

      ドーバー洋酒貿易

 後援  :文部科学省

 《企画・編集》産経新聞社生活情報センター

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