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【朝晴れエッセー】サクラ16歳・12月15日

 「最後は自宅で看取(みと)るか」と獣医から聞かれた。

 16歳の飼い猫サクラが餌を食べなくなり、長年お世話になっている獣医に預けた。検査の結果、進行した腸間膜リンパ腫がみつかり一週間治療していただくも、回復の兆しがなく、高齢猫でもあることから自然に任せることにした。

 もって7日から10日と聞かされショックではあったものの、残された時間はせめて今までのように家で日向(ひなた)ぼっこして好きに過ごさせたいと思った。

 桜が満開の日に家に迎えてサクラと名付けたこと、2歳のときから腎臓病や甲状腺の病にかかり、10歳まで生きられますようにと祈ったこと、でもそのおかげで経験値の高い獣医師と会話する機会も増え、豊富な知識を授けていただいたことを思い出していた。

 父の死や夫のがんの手術や私の体調不良のときにもサクラの温もりに触れ癒やされ慰められた。サクラありがとう。最期は私がサクラを癒やすよ、と話しかけた。

 夫が「最後にサクラが食べたがっていた本マグロを食わせてやろう」と言って上等なマグロの刺し身を買ってきた。

 食べられないよ、きっと。しかしわれわれの予想に反してサクラは喉を鳴らしてマグロを食した。獣医に連絡したら、生の牛肉も食わせてみろ、とのこと。早速牛肉の薄切り1枚をやったら息もつかずに完食。

 獣医によれば、高齢なためにステロイドの効果が後から現れたのかもしれないという。今、サクラは朝晩牛肉を食べて日向ぼっこをして爪を研いでいる。

 これは夢なのだろうか。

(加野しのぶ 55 川崎市宮前区)

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