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【知っトクマイナンバー】(1)マイナンバー制度とマイナンバーカード

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 政府はマイナンバーを活用して行政のデジタル化を進めている。今後、マイナンバーカードと運転免許証との一体化も議論されており、マイナンバーをデジタル化時代の社会インフラとして活用するために真剣に考えるべきときだ。そこで、「図解ポケット マイナンバーとマイナポイントを賢くつかう本」(秀和システム)の著者でマイナンバー制度に詳しい特定行政書士の天道猛氏に、マイナンバーの仕組みから、現状の課題、マイナンバーポイントの活用までわかりやすく解説してもらう。

マイナンバー制度の目的

 マイナンバー制度の究極の目的は、マイナンバーの社会インフラ化にあります。その一環で、証券口座とのひも付けがすでに義務化され、金融資産を有する高齢層にはマイナンバーカード取得に一定のフックとなりました。しかし、20~40代の取得率は伸び悩んでおり、この層への訴求効果を狙って用意されたのが、官製の一大ポイント還元キャンペーン「マイナポイント事業」となります。

 一方で、キャッシュレス化の流れの中で、マイナンバーが果たす役割は、確実に増大しています。そこに降ってわいたように出現したのが、新型コロナウイルスをめぐる問題です。政府の「緊急事態宣言」を受けて、外出自粛、テレワークやオンラインショッピングの推奨など「新しい生活様式」が呼びかけられました。

 テレワークの標準化、企業・社会のオンライン化の動きは、もはや後戻りができない不可逆的なもので、それに伴い、マイナンバーカードの公的個人認証機能を活用したサービスも、一気に加速する可能性があります。この先あらゆる物事がオンライン化されれば、本人確認を要するあらゆるシーンにおいて、マイナンバーカードの公的個人認証がデフォルトとなるのも、決して遠い将来の話ではありません。「マイナンバーを制する者が新デジタル生活様式を制する」と言っても過言ではないのです。

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マイナンバー制度とは

 2016年に行政の効率化を目的に始まったのが、マイナンバー制度。日本に住民票を持つすべての人に12桁の個人番号(マイナンバー)が割り当てられ、税や社会保険などとひも付けられています。

 マイナンバー導入により、税や年金などの手続きが楽になり、行政コストが削減されるなど多くの利点があると言われています。現状では、任意ながら、銀行口座とのひも付けも進められています。なお、証券口座とのひも付けはすでに義務化されています。

マイナンバーカードとは

 マイナンバーと、住所、氏名、生年月日、顔写真が記載されたICチップ付きカードが、マイナンバーカードです。ICチップ内には、利用者が本人であることを証明する発行番号が格納されています。マイナンバーは日本に住民票を持つ人すべてに割り当てられますが、マイナンバーカードの取得は任意です。マイナンバーカードで、税金の電子申告「e-Tax」の利用や、自治体によっては住民票などの公的証明書の発行がコンビニ店頭でできます。2021年には、健康保険証としても利用できるようになります。

・マイナンバーカード取得

 マイナンバーカードを取得するには、まず個人番号通知書と一緒に送付されてきた「個人番号カード交付申請書」に必要事項を記載して申請します。

市区町村から「交付通知書」が届いたら、交付窓口に出向き、マイナンバーカードを受け取ります。その際数字4桁の暗証番号を設定します。この暗証番号は後の申請手続きでも必要になるため、必ず控えておきましょう。手続きの際3回連続で間違えるとパスワードにロックがかかり、自治体の窓口で再設定の手続きが必要になります。

・マイナンバーカードの申請方法

1.マイナンバーの個人番号通知書とともに送られてきた交付申請書を用意
※交付申請書を紛失してしまった場合、住んでいる市区町村の窓口で本人確認書類を持参すれば再発行可能
2.交付申請書に記載のQRコードなどを使い「スマートフォン」「パソコン」「郵便」「指定の証明書写真機」のいずれかの方法で申請
3.申請から1か月後、市区町村から「交付通知書」が届く
4.交付通知書と本人確認書類を持参し、市区町村の窓口で受け取り
5.受け取りの際に「利用者証明用電子証明書」の暗証番号(数字4桁)を設定

マイナンバーカードの現状と課題(1)「住民基本台帳、銀行口座とのひも付け義務化が急務」

 マイナンバーカードは、「特別定額給付金(一律10万円給付)」のオンライン申請にも利用できるとして、一時的に脚光を浴びたものの、持っている人はまだ多くありません。

 交付開始から4年以上経った2020年10月1日時点で、発行された枚数は2610万枚。国内の全住民で割った取得率は約20.5%で、まだ5人に1人程度しか持っていない計算になります。60歳以上の高齢者の取得率が概ね25%を超えるのに対し、20~40代の取得率は伸び悩み、世代間で浸透にギャップが見られます。

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問題点として指摘されるのが、住民基本台帳とひも付けられていない点です。今回オンライン申請で生じた問題は大きく3点--

(1)署名用電子証明書の手続きに伴うシステム遅延、役所窓口混雑

(2)申請内容不備や重複申請が簡易なものを含め相当数発生

(3)申請データ突き合せが手作業のため1日あたりの処理可能件数が少ない

住民基本台帳とひも付けられていないことで、(3)での人海戦術を招き、多くの自治体で業務がパンクしました。銀行口座とのひも付けが任意にとどまっていることも、給付の遅れにつながる要因と言えます。

証券口座とのひも付け義務化が、相対的に資産が多い高齢者のカード取得率アップに結び付いている側面もあるので、住民基本台帳とのひも付け、銀行口座とのひも付け義務化が急務であり、喫緊の課題と言えるでしょう。

マイナンバーカードの現状と課題(2)「個人情報の流出リスク」

 マイナンバーの目的は社会保障、税、災害対策の分野での効率的な情報管理とされます。それだけに、マイナンバーカードには多くの個人情報が収納されています。セキュリティ上の最大のリスクは、その情報が流出してしまう懸念です。

マイナンバー制度では、制度とシステムの両面から、マイナンバーを含む特定個人情報の流出予防のため、以下の措置を講じています。

【制度面における保護措置】
1.本人確認措置
2.番号法の規定以外での、特定個人情報の収集・保管の禁止
3.番号法の規定以外での、特定個人情報ファイルの作成の禁止
4.第三者委員会(特定個人情報保護委員会)による監視・監督
5.特定個人情報流出に対する罰則の強化
6.マイナポータルによる情報提供等記録の確認

 今後国や地方自治体が取り組むべき課題としては、以下の点があげられます。

「特別定額給付金(一律10万円給付)」のオンライン申請をめぐる混乱で、自治体のマンパワー不足の問題、申請データを紙に印刷して住民基本台帳と目視で照合するという、極めてアナログ的なボトルネックが浮き彫りになりました。一方で、デジタル的なボトルネックとして、マイナンバー制度の個人向けポータルサイトである「マイナポータル」の使い勝手の悪さも指摘されたところです。

 これらを踏まえ、まず国に求められるのは、現状ではユーザーである国民に不親切なマイナンバーの制度設計見直しや、ユーザーフレンドリーに欠けるマイナポータルの改善でしょう。また、個人や企業が行政府に一度提出した自己の情報は再提出不要(ワンス・オンリー=一回切り)というデジタル手続法の基本原則の徹底も望まれます。

 一方、自治体としては、マイナポータル経由のオンライン申請を迅速に処理するシステム対応が急がれます。政府が自治体の実情を無視して「迅速に給付できる」とオンライン申請をむやみやたらに推奨し、その執行を自治体に丸投げした結果、混乱が生じたことから、国と地方のいびつな関係見直しも重要です。

ポイント解説(2)では、マイナンバーカードとマイナポータルの役割について解説します。

天道 猛
1954年生まれ。特定行政書士、知的財産管理技能士(2級)、知的財産修士(MIP)、ライター、(社)日本ペンクラブ会員。早稲田大学商学部、東京理科大学専門職大学院知的財産戦略専攻を修了。ラジオ局で35年間勤務。退職後は池袋で行政書士 日中国際法事務所を開設。入管手続申請取次、会社設立、著作権登録等を手がけるかたわら、専門紙誌で執筆活動を行っている。

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