PR

ライフ ライフ

【朝晴れエッセー】最後の握手・12月12日

 「敦子の手はカサカサやなぁ」

 先日亡くなった伯父と私の最後の会話。いつまでも元気だと思っていた伯父だったが、入院してると母に聞き、それからあっという間だった。

 伯父は母の一番上の兄で、5人きょうだい。終戦後食べ物もなかった時代に山や畑、川に池、知らないところはない人だったので、季節に応じてたくさんの食べ物をいっぱい取ってきては、幼い弟や妹たちに与えてくれたそう。

 一度、貝を採ろうとしてお百姓さんが田植えの時期に使うためのため池の水を抜き、祖母が平謝りしていたこと。ヤマモモやサワガニのおいしかったこと。ヤマユリの素晴らしい香りのこと。

 ケンカすれば村一番。でもきょうだいにとても優しかったこと。その頃幼かった母が昨日のことのように話す。

 晩年はその器用な手で、菊作りで賞を取ったり、椎茸(しいたけ)や干し柿を丁寧に作り、友人に配ったりして皆に喜んでもらうことを生きがいにしていたそう。

 きょうだいには入院していることは話すなと言われていた伯母が母だけに連絡してくれて、私も会えた。

 照れくさそうに「こんなオジイの顔なんか見に来なくていい」と言っていたが、検診に来た看護師さんに「妹と姪(めい)が来てくれた」と嬉しそうに話す。

 それから後日、知らせが入った。

 最後に握手した手は、母たちの命を繋(つな)いでくれた立派な手だったことを思い、本当に感謝している。ありがとう伯父さん。本当にありがとう。これからも母を優しい目で見守ってあげてね。

 島田敦子 53 大阪府忠岡町

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ