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東欧2カ国「法の支配」条件に反発 EUのコロナ基金

 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルス禍で深刻な打撃を受けた国を支援する欧州連合(EU)の「復興基金」をめぐり、東欧のハンガリーとポーランドが承認手続きで同意を拒否している。権威主義に傾斜している両国の政権は、「法の支配」順守を資金分配の条件とする基金の仕組みに反発している。基金の運用開始には加盟全27カ国の承認が必要で、来年1月とされていた予定がずれ込む可能性が出てきた。

 基金はEUの欧州委員会が債券を発行し、金融市場で全額を調達する。規模は総額7500億ユーロ(約92兆円)でEU予算に組み込まれる。コロナ禍に伴う医療支援や景気対策などのため、返済不要の補助金として3900億ユーロ、融資の形で3600億ユーロの資金を加盟国に供給する仕組みだ。

 EU首脳は7月、基金の設立に合意した。しかし、その後、EU議長国を務めるドイツと欧州議会の交渉担当者が、「法の支配」の原則に反する加盟国に対しては、基金からの資金拠出を差し止められるとする仕組みの導入方針を決めた。

 ハンガリーとポーランドの政権は強権的な統治手法を強め、報道の自由や司法の独立を脅かしていると指摘される。基金運用に関する方針には、両国での「法の支配」の後退に歯止めをかける狙いがある。

 ハンガリーやポーランドはこれに対し、「経済問題を政治的な議論に結びつけるのは誤りだ」などと反発。基金を含めたEU予算の承認手続きに拒否権を行使している。

 EUは19日、オンラインによる首脳会議を開き、基金の問題を議論したが、両国は拒否する姿勢を変えなかった。加盟国は協議を継続することで一致しており、ミシェルEU大統領は12月の首脳会議までに解決を図る考えを示した。

 ハンガリーのグヤーシュ首相府長官は同日、現状のままでは基金が稼働する「可能性はゼロだ」と述べ、仕組みの変更を改めて求めた。ドイツのメルケル首相は「拒否権がある以上、ハンガリーやポーランドとの協議を続けなければならない」と述べるにとどめた。

 基金の運用開始が遅れれば、コロナ禍で低迷した欧州経済の回復が遅れる恐れもある。景気悪化が深刻なイタリアのアメンドラ欧州関係担当相は「(基金の承認を)遅らせた者は重い政治責任を負う」と警告した。

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