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【美村里江のミゴコロ】女優休業で見えた「絶対的な味方」

 自分の辛かった話を書くのは少々不得意である。比較にならない苦労をなさっている方々のことを思って、筆が止まってしまう。

 しかし、インタビューや執筆依頼ではリクエストが多い。今回もそういったご要望で少し書いてみたいと思う。私が2年間、役者を休んだ前後の話だ。

 フジテレビ主催のプロ・アマ問わずの1万人オーディションで合格。主演でドラマデビュー。同時にNHKの「朝ドラ」オーディションでも最終審査まで残っていたが、先に決まった方でデビューとなった。

 ざっと書くとこんな感じで、事務所に籍は置いていたが演技未経験だった人間としては、「出来過ぎたスタート」だった。

 出来過ぎた-。つまり身の丈に合っていないわけなので、その後に激しい温度差が生じてくる。私の場合は、演技自体は面白く熱中していたが、その他の点で適性が低かった。

 人前に立つのは苦手。カメラの前で笑うことも苦手。お世辞でも容姿を褒められるのが苦手(父親に「お前はかわいくねぇな」と言われ続けた幼少期のプチ呪い?)…等々。初心者としての技術の低さ、というだけではなく、芸能界は私の本質と水と油の部分が多かった。あとは「激増する仕事についていけなくなる心」、「自分が辞めたら周囲に迷惑がかかる葛藤」という、どの仕事でもある蓄積で限界を迎えた。

 多くの営業をかけていたであろう事務所からは、当然強く引き止められたが、決意の固まった人間にはのれんに腕押し。紆余(うよ)曲折は省くが、最小限の仕事をこなして休業期間に入った。

 あまり休業を勧めすぎてもいけないが、もがいた末の大きな戦利品として「絶対的な味方である自分自身」がある。たとえ親切な人が身近に居ても、現実的問題から他者を助けられるような人はそうそういない。自分で発案し、計画を立て、実行する以外に方法はない気がする。

 人生なかなか思うようにはいかないが、自分に対してだけは常に行動や気の持ちようを選ぶことができる。そのことが強く体感できただけでも、十分休業を得た恩恵があった。

 秋の終わり頃に休むことが決まったので、今時期のあかね色の夕暮れを見ると、ふとあの頃のなんとも言えない気持ちがにじんでくる。

 仕事が全てではないが、自分の仕事を「好き」と明言できる今がうれしい。

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