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【本ナビ+1】元三井住友信託銀行副社長 大塚明生 「歴史は韻を踏む」に学ぶ 『悪党たちの大英帝国』

大塚明生さん
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『悪党たちの大英帝国』君塚直隆著(新潮選書・1400円+税)

 16世紀から20世紀にかけては、辺境の島国イングランドが世界に冠たる大英帝国となり<パクス・ブリタニカ(英国による平和)>を築き、その終焉(しゅうえん)とともに普通の国に戻っていく。その時代の英国を率いた<暴君>ヘンリ八世から<最後の帝国主義者>チャーチルに至る7人の悪党たちを描いたのが本書である。

 <偉大さとはその者の業績の善悪で決まる>とあるが、この7人はそれぞれに「水清ければ魚棲(す)まず」を体現し、大英帝国を築く上で赫々(かくかく)たる実績をあげている。たとえば、自らの離婚願望のためにイングランド国教会を創設したと矮小(わいしょう)化されるヘンリ八世だが、それは中世キリスト教世界に君臨したローマ教皇庁への真っ向からの挑戦で、近代主権国家の先駆けでもあったという。

 英国は立憲君主制の模範とされるが、それが戦争に必要なカネに関連しているということも興味深い。イングランドでは、対外戦争の軍資金を提供する最大の存在が<地主貴族(ジェントルマン)階級>で構成される議会。だから、国王は彼らをむげにはできず、彼らもいざ戦争となれば、国家を背負うものとして<高貴なる者の責務(ノブレス・オブリージュ)>を発揮したのである。

 一方、フランスは教会や貴族が免税特権を持ち、重税は平民たちにのしかかり、これがフランス革命による絶対王政崩壊につながったのだ。

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