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東京、郵送検査普及で「都外」感染者が増加 実態把握に懸念

 新型コロナウイルスの感染を調べる際、唾液を郵送で検査機関に送る「郵送検査」の普及が進む中、通勤・通学などを伴わない都外在住の感染者が東京都に計上されるケースが相次いでいる。都内に郵送検査を受け付ける医療機関などが集中しているためだ。感染が判明すると感染症法上、都内の保健所に届けられる。東京の感染者数が多くなる半面、地方では少なく計上されるため、実態との乖離(かいり)により住民が感染状況を正確に把握できなくなることへの懸念が高まっている。(大森貴弘)

 10月29日、都内の感染状況を話し合うモニタリング会議が開かれた。席上、10月20~26日の1週間に報告された都内の感染者1084人のうち、郵送された検体によって感染が判明した人が40人に上ることが明らかにされた。唾液検査が可能になった6月以降、こうしたケースは散見されていたというが「最近、急に目立つようになった」(都幹部)。

 10月、千葉県船橋市の物流倉庫会社で大規模クラスター(感染者集団)が発生し、全従業員約700人の大がかりな検査が行われた。一部の検体は郵送で都内の医療機関に送られ、感染が判明した。このほか、青森県や大阪府など遠方に住む人も含まれていた。

 そもそも、都外在住者が都内の医療機関を受診し、都の数字に計上されるケースはこれまでも少なくなかった。11月2日現在、都が把握する感染者のうち、都外在住者は1645人に上る。ただ、都内の勤務先の近くで病院にかかるなど、通勤や通学で都内を日常的に移動している人が大半で、感染状況の分析には必要な数字だった。

 一方、郵送検査の場合、都は東京との関連は薄いとみている。感染症法上、都は日々発表する数字にはこうした感染者を含める。ただ、正確な感染実態を把握するため、10月29日のモニタリング会議で、今後は感染状況を分析する際のデータからは除外するとした。

 郵送検査は、唾液を自分で採取するため手軽に受けられる。身近に感染者がいても保健所から濃厚接触者とされず検査を受けられなかったり、会社や取引先から陰性証明を求められたりと、検査の裾野の拡大が背景にあるという。

 郵送検査を受け付ける医療機関や検査機関は都内に集中している。都が発表する感染者数には、連日、郵送検査によって感染が判明した人が複数、計上されており、直近の10月27日~11月2日の1週間では13人に上った。

 都内の保健所は、こうした感染者の情報を居住地の保健所に引き継ぐ。感染経路の調査などは居住地で行われるため「調査漏れ」は起きないが、都幹部は「このまま数字が積みあがっていくと、表に出る感染者数が実態と乖離する恐れがある。住民の警戒意識に影響しかねない」と懸念する。

 小池百合子知事は10月30日の定例記者会見で「検体がどこからもたらされたか関係なく、都の感染者にカウントされている。(郵送検査は)新たな状況でもあり、国も課題だと認識している。どう整理するか検討が必要だ」と述べた。

 新型コロナ対策の司令塔として、都が新設した「東京iCDC」(東京感染症対策センター)の専門家ボード座長で、東北医科薬科大の賀来満夫特任教授(感染症学)は「手軽にできるのはいいことだが、正確な検査をするには、正しく検体をとる必要があるし、郵送の方法にも気を付けなければならない」と語った。

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