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【美村里江のミゴコロ】たき火が恋しい…あの戦利品も

 新型コロナウイルス禍による今春からの世界的な活動自粛で、オゾン層が復活したというのは本当だろうか。肌にはつらい紫外線だが、ウイルス全般にも効くので痛し痒(かゆ)し、しかし環境保護は大切…。

 こんなふうに持って回って何を言いたいのかというと、「身近なたき火が大変恋しい」ということだ。ダイオキシンが問題になるまでは、わが家にも家庭用の焼却器があった(鉄製の大きな蓋つきバケツに、煙突が付いていた)。

 私は落ち葉を燃やす香りが大好きで、自宅でも祖父母の家でも、そして学校の用務員さんの手伝いでも、せっせと枯れ葉を集めてたき火にくべた。

 戦利品として、焼き芋を手に入れることもあった。しかし思い返してみると、家庭レベルのたき火でちゃんと焼けた芋を食べた記憶がない。多分、時間が短すぎたか火力が足りなかったのだろう。大抵中心がガリッとして白っぽく、でんぷんだなぁという味がしたが、それでもとてもおいしいと感じていた。

 暖かいオレンジの明滅、優しげな灰色のグラデーションから、黒光りしている塊を出す。それを包んだ古新聞の温まる匂いの中で剥くと、アルミ箔(はく)の無事な部分が光り、その中に茶ばんだ紫色、最後に出現する黄色とのコントラスト、立ち上る湯気…。このプロセスだけですでに満足。木枯らしなんか吹いた日には童謡「たきび」の世界そのままで、より楽しかった。

 最近は機会が減ったが、仕事の移動で乗る新幹線の車窓から、田園風景の中に煙の筋を見つけるのも大好きだ。東京-大阪間の片道で5回は煙を見つける。そのたびに、ああ、近くに行って私も火に当たりたいなと熱い視線を注いでいる。

 人口密度の高い都内で気兼ねなく落ち葉たきをするとしたら、広大な邸宅が必要だ。火事も怖い。都民のたき火はハードルが高い。

 きっと同じような人は多いはずだと調べてみたところ、安全性の高いランプを発見した。アルコールランプの燃料を工夫したもので、万が一倒れても火が燃え広がる可能性が低く、匂いや煙もほぼないらしい。セーターに染み付いてくる煙い香りや、髪に付着する灰もないわけだ。果たしてこれを買って、私は満足できるのだろうか。

 安全で清潔な物が、いつも心を温めるわけではない。大みそかのおたき上げまで我慢かなと思いつつ、たき火に集える年末を願う。

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